私の連載「鉄道写真何でもゼミナール」は、題名の通り鉄道写真について様々な視点から解説してきましたが、今回はなんと、鉄道動画についてお話ししようと思います!

近年は、X(旧Twitter)やFacebook、TikTokやYouTubeのようなSNSや動画アプリで鉄道動画をアップするユーザーが、若い人を中心に多く見られるようになりました。もちろん、美しい鉄道写真の投稿も多く、様々な情報と共に私も楽しませてもらっています。
ところで、「鉄道動画を撮っているよ!」という方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。日本では、趣味としての写真撮影の文化が比較的古く、また世界的カメラメーカーが集中していることもあり、鉄道写真という趣味も歴史を刻めるほど長くなっていると思います。そのため、「鉄道写真は撮っているけど動画は……」「鉄道写真の片手間で撮影する程度」という方が、ベテランを中心に多いのではないかと私は感じています。かく言う私も鉄道写真撮影を主な生業としている鉄道写真家であるので、10年くらい前までは鉄道動画は撮影したことすらありませんでした。
しかし、そんな私も鉄道動画の楽しさや意義も感じている今日この頃。今回お話しするのは、あくまで「助川流鉄道動画ノウハウ」であり、他にも色々な流儀があると思うので、これに限ったことではありません。ちょっと難しいことにも触れますが、「これから鉄道動画をやってみようかな」と思っている方のご参考になれば嬉しいです。
ミラーレス一眼の動画性能が格段に上がっている!
デジタルカメラが一眼レフからミラーレス一眼へ移行していく中、その機能や性能は、写真撮影用だけでなく、動画撮影の機能も格段に上がっています。今ではフルハイビジョン(FHD)から4K、そしてなんと8Kまで撮影できるミラーレス一眼が登場しています。

ちなみに、それぞれの規格はディスプレイの解像度の違いを表していて、フルハイビジョンは横1920ピクセル×縦1080ピクセル(207万3600画素)、4Kは横3840ピクセル×縦2160ピクセル(829万4400画素)、8Kは横7680ピクセル×縦4320ピクセル(3317万7600画素)です。フルハイビジョンと8Kの解像度の差は、なんと16倍にもなります。現段階では、日本の一般家庭におけるテレビやモニターのサイズと距離感では、4Kでも十分すぎるくらい綺麗と言われています。しかし、今後65インチ以上の大きなテレビが入る、これまた大きなリビングを持つ家に引っ越すという方、そしてそんな生活を目指して日々努力を重ねている方には、8K動画の素晴らしさも感じることができるでしょう(笑)。

また、カメラの動画撮影機能は解像度だけではありません。詳細は後述しますが、動画の記録方式でよく耳にする「MP4(.mp4)」などだけでなく、「ProRes RAW HQ」や「10bit ProRes 422 HQ」など、撮影後の動画編集を見越した記録方式も採用しています。
さらに、今では高額な動画専用機でなくても、ミラーレス一眼で高品質な動画撮影を楽しめるようになりました。カメラを写真撮影専用機にするというのはもったいない!積極的に動画撮影にも挑戦しましょう!
鉄道動画で列車をどのように見せるか
鉄道動画撮影に興味が出て、「さあ、ミラーレス一眼で鉄道動画を録ってみようかな!?」と思い立った時、次に知りたいのは「カメラの設定云々よりも、どのように鉄道をどう狙えば良いのか?」ということではないでしょうか。そこで、まずは構図やレンズの選択を考えてみましょう。
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写真とは構図・設定の考え方も編集方法も異なる動画。特に鉄道動画はどう取り扱えば? プレミアム会員に登録すると、プロの鉄道カメラマンによる鉄道動画の解説がご覧になれます。
ちなみに、とある動画クリエイターの話では、「風景的な動画は1シーン8秒まで」という考え方があるそうです。人がセリフをしゃべるなどの視覚+αで注意を引き付けるシーンでない限り、8秒以上の風景やシーンを流すとダラダラとした内容に感じるというのです。例えばTVCMで考えてみましょう。TVCMは基本的に15