JR東日本東北本部では、7月4日以降の金曜日に、臨時特急「イブニングウェイ」を運転します。

「イブニングウェイ」は、金曜夜の帰宅時間帯に走る列車。仙台駅以北の需要に対応しており、仙台駅18時15分発の小牛田駅行き、仙台駅20時34分発の石越駅行きの2本が設定されています。所要時間は、仙台~小牛田間が最速34分。普通列車(最速44分)よりも10分短縮しています。
この列車の運転が発表された際、SNSでは、鉄道ファンらが「キハ110系を使用する特急列車」であることに注目した投稿が多く見られました。
キハ110系は、主にローカル線向けの車両として、1990年にデビューしたディーゼル車。かつて、秋田新幹線開業前に運転された特急「秋田リレー号」で使われたことはありましたが、現在は基本的に普通・快速列車で使われる車両です。その一般列車向けであるはずのキハ110系が、今回は特急列車に使われるという点が、鉄道ファンには驚きをもって受け止められたのです。
JR東日本東北本部によると、この列車は、通勤通学利用者の多い時間帯に全席指定列車を運転すること、そして速達ニーズに応えることの2点を重視したということ。特に後者の点から、今回は特急列車としての運転となったようです。
また、使用車両については「現在の東北本部にはさまざまな車両があるわけではない。その中で特急列車に使える車両ということで、土休日には『快速ゆけむり号』で使用しているものの、金曜日には使用していないキハ110系を投入することで、お客様の声にお応えすることになった」(広報担当者)のだといいます。
ちなみに、仙台駅周辺の在来線では、キハ110系のほか、HB-E300系「SATONO」、特急「ひたち」用のE657系と、3つのリクライニングシート装備車が運転されています。しかし、「SATONO」は観光列車のため、今回のような通勤特急には不向き。E657系は東北本部ではなく水戸支社が管轄する車両で、さらに現在のダイヤでは、仙台エリアにおいて「ひたち」の間合いで通勤特急に充当できる余裕はありません。

余談ですが、今回の「イブニングウェイ」で使われるキハ110系0番台は、もともと急行「陸中」用として製造されたグループです。急行用とはいいつつも、座席はR55形を採用。これは国鉄特急型の485系やキハ183系などにも採用されていたもので、座席自体は(国鉄型と同等とはいえ)特急用車両と同レベルのものでした。

今回の「イブニングウェイ」は、先述したように、仙台以北の需要に対応した列車です。逆に南方面への運転がないのか、という点について、JR東日本東北本部の広報担当者は、「臨時列車は限られたダイヤの中で設定していくが、南方面は常磐線や『仙台空港アクセス線』などの列車が多くなるため難しい」と説明していました。
「イブニングウェイ」の運転概要
- 運転日
- 7月4日から9月26日までの金曜(8月15日を除く)
- 10月以降も主に金曜日の運転を予定
- 運転区間
- 1号:仙台(18:15発)~小牛田(18:51着)
- 3号:仙台(20:34発)~石越(21:36着)
- 通常特急料金(運賃別)
- 50キロ以内(仙台~小牛田間など):1290円
- 51キロ以上(仙台~石越間など):1730円
- 「在来線チケットレス特急券(トク割)」料金(運賃別)
- 50キロ以内(仙台~小牛田間など):640円
- 51キロ以上(仙台~石越間など):860円