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JR東海殿向け HC85系(量産)の紹介

JR東海HC85系

東海旅客鉄鉄道株式会社(JR東海)殿向け、HC85系の量産車の出荷を開始しました。  

2019年12月に当社から出荷した試験走行車での各種走行試験の結果、ハイブリッド車両としては国内最高速度の120km/hの営業運転を確立しました。さらに従来の気動車タイプと比較し、省エネルギー面では燃料消費量を35%向上し、環境面ではCO2排出量を約30%削減、NOx排出量を約40%削減しています。

試験走行車では4両編成のうちの1両をグリーン車とした4両編成でしたが、量産車では普通車のみの4両編成及び2両編成の新しいラインナップを加え、全てのラインナップに、試験走行車での各種確認結果の反映と新しい機能やインテリアの追加を実施し、設計・製作しました。 HC85系の主な特徴は以下のとおりです。

 

〇車体構造

構体はステンレス製で、先頭部と側面部にそれぞれ前面衝突、側面衝突に対する強度を持たせています。キハ85系からの変更点として、ガラス押さえ面の無い大型の連続窓を採用しており、側面衝突との両立は非常に難易度の高いものでしたが、様々な工夫により実現することができました。 徹底した軽量化と厳しい重量管理を実施し、省エネルギー化と環境性能の向上を最大限に高める一翼を担いました。

ロゴマーク

〇エクステリア/インテリア

共通して「和」を表現したデザインとしています。室内の壁面は木目調で、グリーン車と普通車では色調を変えています。側入口床のすべり止めの模様や、客室の荷棚ガラスの模様といった細かいところにも「和」を意識したデザインとしています。 客室の腰掛は、グリーン車は沿線の新緑、美しい川や夕暮れの紫の空をグラデーションで表現した落ち着いた上質感〞、普通車は沿線の紅葉、祭り、花火をグラデーションで表現した鮮やかな明るいワクワク感〞をテーマとしています。 また、全席にコンセントを配置、全車両に荷物スペースを備えるなど、国内外からの観光客の利便性を向上しています。  

客席(グリーン車)
客席(普通車)
グリーン車デッキ部内装

 

〇動力機構

シリーズハイブリッド方式を採用しており、エンジン/発電機と大容量リチウムイオンバッテリーからの電力でモーターを駆動します。 加速時はエンジン/発電機に加えてバッテリーでアシストを行い、ブレーキ時には回生ブレーキでバッテリーに電力を蓄えて駆動力に再利用することで、省エネルギー化と環境性能の向上を図っています。また、電力変換装置及び主蓄電池等を一体・小型化し、ハイブリッドシステムを構成する全機器を床下に配置することを実現しています。 エンジンについては、車体に取り付けるための防振ゴムを二重化する防振構造と、二重床構造の防音床の導入により、騒音、振動低減を図り、快適で居心地の良い室内空間を実現しています。  

二重防振構造
踏切用逸脱防止ストッパ

〇台車

次世代プラットフォーム“N-QUALIS”シリーズのNS台車を全車両に導入しています。ツナギばり等、従来溶接接合していた部材をプレス加工で一体成型(母材化)することで重要溶接部を大幅に削減し、安全性と保守性を向上するとともに、タンデム式軸箱支持方式を採用することで乗心地の向上を図っています。 グリーン車にはセミアクティブダンパを搭載し、さらに快適な乗り心地を実現しています。 先頭車には、踏切用逸脱防止ストッパを搭載しています。踏切で障害物と衝突し脱線した際、車輪の外側の軸箱に設置した当該ストッパがレールにかかり、対向する線路側への逸脱をおさえ、対向列車との衝突を防止するもので、台車の振動を常時監視する振動検知装置と共に安全運行に寄与します。 

 

 

 

〇旅客サービス設備

バリアフリー対応として、ハンドル型電動車椅子に対応した多機能トイレ・洗面所を設置している他、車いすスペースを1編成あたり3カ所に拡大するなどさらなる充実を図っています(2023年4月1日施行の「移動等円滑化に関する」改正省令に適合)。 車両のデッキ部(4両編成は一部の先頭車と中間車、2両編成は一部の先頭車)には、HC85系が運行される沿線地域の伝統・文化を車内でお楽しみいただけるよう展示スペース「ナノミュージアム」を設けました。 

 

ナノミュージアム

 

〇その他

お客様の乗降口の側引戸は、技術基準に従って、非常時に手動で開扉できる構造を有していますが、停止中以外では手動開扉が出来ない機構を組み込み、安全性の向上を図っています。
最新技術や環境性能を搭載したHC85系で飛騨、南紀へ足を運んでみてはいかがでしょうか。  

 

[ HC85系]
[鉄道車両本部]