2021年1月 社長会見(東京)
1.営業・輸送概況
2.荷物輸送に関する取り組み
1.営業・輸送概況
【運輸取扱収入の状況(速報値)】
収入ですが、対前年比で12月は49.5%、1月は14日までで47.6%です。
【新幹線・在来線特急・近畿圏のご利用状況(速報値)】
ご利用については、山陽新幹線は12月で40%、1月は14日までで29%、北陸新幹線では12月で52%、1月は14日までで29%です。
11月までは緩やかな回復傾向が継続しましたが、12月以降、感染者の急増や緊急事態宣言の発出もあり、足元は大変厳しい状況です。
このような先行きの見えない厳しい状況ではありますが、昨年10月に公表した、「JR西日本グループ中期経営計画2022」の見直しに基づき、インフラ企業としての使命・責任を持続的に果たしていくべく、安全性の向上を最優先として、コストのさらなる低減や、行動変容を踏まえた新たな収益源の獲得に向けて、全力で取り組んでいるところです。
今期および来期の厳しい環境をむしろ変革の機会として取り組んでまいります。
2.荷物輸送に関する取り組み
その一環として、中期経営計画見直しの中にある「地域共生の深耕と新たな価値創造」に資する取り組みの1つとして、今後取り組んでいこうと検討しているのが、鉄道による荷物輸送です。
荷物輸送の事業化による狙いは大きく2つございます。1つ目は「他企業・地域との共創価値実現」です。当社が保有する既存資源や沿線地域との関係を活かし、ほかの物流会社やJR他社と連携・共創することにより、世の中に新しい価値を提供することを目指します。
2つ目は、「地域活性化への貢献」です。当社の情報発信力を活かして地域情報を発信することで、新たな旅客流動も創出していくことを目指します。
これらを通じて、既存の物流市場への参入を図るというより、鉄道荷物輸送という「新たな市場」の創出を目指してまいります。
【具体的な創出価値】
1つ目の「他企業・地域との共創価値実現」では、モーダルシフトを図ることによるCO2削減や労働力問題の解決、また定時性の高い鉄道輸送により当日受領が可能になるなどの価値の創出を目指しています。
2つ目の「地域活性化への貢献」では、新たな地産品の発掘・発信の他、将来的には地産品の販売を通じた旅行喚起などの旅客流動の創出も目指します。
【北陸新幹線】
JR東日本と連携し北陸新幹線で事業者をまたいで、北陸エリアの特産品を首都圏に輸送する事業を拡大してまいります。
これまではキャンペーンと連動しての実施にとどまっていましたが、新幹線の速達性・定時性を活かして継続的な提供を検討してまいります。
持続可能なスキーム構築、荷主開拓等について、現在JR東日本グループと協議を進めておりますので、詳細はあらためてお知らせいたします。
【山陽・九州新幹線】
JR九州と連携し山陽・九州新幹線を直通して、九州エリアの特産品などの荷物の関西エリアへの輸送の試行を実施します。
鉄道ネットワークの活用という観点から、新大阪駅で新幹線から荷物を下ろした後、在来線に積み替えて大阪や京都などに輸送するなど、新幹線と在来線を組み合わせての荷物輸送も試行します。
山陽・九州新幹線相互直通10周年にあわせて、2021年2月から実証実験に着手したいと考えています。
【在来線を用いた荷物輸送の試行】
地域活性化を目的とした取り組みとして、地元生産者等や運送事業者と連携し、伯備線の普通列車を活用し岡山駅までの地域の農産品輸送について試行します。
実証実験は1月下旬から準備出来次第実施予定で、実証実験後に、駅での農産品販売ニーズを調査するとともに、地域活性化を目的とした地元事業者等と連携した農産品輸送の検討を行います。
コロナ禍による「人の移動の停滞と物の動きの活発化」を契機とし、旅客列車を活用した荷物輸送事業の可能性を提示することで、社会課題・地域課題の解決を目指してまいります。