この度、京成電鉄株式会社(京成電鉄)殿向け3100形を納入しましたので、その概要を紹介します。 3100形は『受け継ぐ伝統と新たな価値の創造』をコンセプトとし、質実さ、実用本位という京成電鉄殿の基本思想を大切にしています。一方で、空港アクセスを担う車両として、より便利で快適な移動空間をご提供するために、2002年度から2018年度までの間に製作した同社向け3000形で培った技術を発展させた車両としています。
車体及び外観デザイン
構体材質は3000形と同様にステンレス鋼を基本とし、先頭構体には普通鋼を採用しています。先頭形状及び外観デザインは当社が提案したものを採用いただいています。先頭形状は京成グループの標準車両として相応しいイメージに仕上げています。外観デザインは成田スカイアクセス線の案内カラーであるオレンジ色を採用し、空港アクセスのシンボルとなる飛行機を描いています。また、側面には沿線の名所・風景をイメージイラストとして描いています。
インテリア
外観デザインと同様に当社が提案したものを採用いただいています。ガラス製の袖仕切り、全面ガラス製の貫通扉を採用することで開放感のある車内空間を実現しています。座席は座り心地を重視して3000形よりも背もたれを175mm高くしたハイバック形ロングシートとし、モケットの柄として“なのはな”(千葉県花)と日本を象徴する花である“そめいよしの”(東京都花)をあしらっています。座席の一部はスーツケース置き場として利用できるように、折り畳み式としています。
設備
先頭車両には車いすスペースを、全ての中間車両には車いすやベビーカー連れのお客様にも利用いただけるフリースペースを設けました。これらのスペースには非常通報装置を設け、非常時に乗務員と通話ができるようになっています。
装置
SiC素子を使用したVVVFインバータ装置を採用することで、3000形に搭載しているIGBT素子のVVVFインバータ装置よりも約15%の消費電力削減を図りました。車内においては、空気を浄化するためにプラズマクラスターイオン発生装置を搭載しています。全ての乗降扉の上部に17インチ液晶車内案内表示器を2画面ずつ設置し、停車駅や乗り換え案内等に加え、広告等の放映を行うことで、多くの情報を案内できるようになっています。車外の側面行先表示器は3000形の約2倍の大きさとすることで視認性を向上し、駅ナンバリングの表示、日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語表示を可能としています。Wi-Fi装置を搭載しており、お客様が車内にて無料でインターネット接続を行えます。また、車内セキュリティー向上のために、防犯カメラを各車両に3台ずつ搭載しています。
3100形は日本の空の玄関口である成田空港と都心の上野、押上や都営浅草線、更には羽田空港に向かう京浜急行線でもその雄姿を見ることができます。同じく当社にて製作いたしましたAE形特急電車(スカイライナー)とともに成田空港などを結ぶ車両として国内外のお客様を安全に送迎し、快適な移動空間としてご利用いただけることを願っています。