お知らせ

えちごトキめき鉄道 運賃改定について

お知らせ 2019-05-23

 日頃より、えちごトキめき鉄道をご利用いただきありがとうございます。
 弊社は、開業以来、運賃をJR 並みに据え置いて急激な変化の緩和に努めてまいりましたが、現行の厳しい経営を改善するため、近く北陸信越運輸局へ運賃改定の変更認可申請を行う予定です。
 これは普通運賃(回数券を含む)、通勤定期、通学定期を全体で30%相当値上げする内容となっています。認可されれば来年4月に運賃改定を実施することになります。
 ご利用をいただいている皆様には、ご負担をおかけしますが、将来にわたって安全・安心な鉄道を走らせていくために、実施させていただきたいと考えておりますので、なにとぞご理解をお願い申し上げます。
 

1 開業から現在までの経営状況

 2015年3月14日、北陸新幹線開業と同時に、トキ鉄はJRから経営分離される並行在来線の経営を担い営業運転を開始しました。開業から4年を経過した現在の経営状況は、経営基盤の確立に必要な大きな初期投資が終わり、これまで安定した運行により、毎日1万1千人余りの沿線市民や観光客の皆様からご利用をいただいております。
 一方で、北陸新幹線の開業後における特急列車の廃止や新潟方面との直通列車の減便等による影響、また安全運行に不可欠な鉄道施設の維持補修・設備更新が当初想定していた以上に多額に及んでいることなどから、当初の収支計画よりも損益が厳しい状況にあります。

◆利用者数(1日平均)推移 (単位:人)
年度 2015 2016 2017 2018
利用者数 11,123 11,254 11,222 11,005
◆決算状況 (単位:億円)
  2015 2016 2017 2018
営業収益 39.5 45.2 41.2 36.7
営業費用 57.6 50.3 48.0 44.1
営業損益 △18.1 △5.1 △6.8 △7.4
経常損益 △18.9 △4.4 △6.1 △7.1
◆開業から5年間(1~5年目、年平均) (単位:億円)
  当初計画 実績・見込み
収益 38.1 42.1 4.0
費用 43.3 50.5 7.2
損益 △5.2 △8.4 △3.2

 今後も、老朽施設の大規模更新が想定されることから、このままで推移した場合、赤字幅が更に拡大するなど、長期にわたる安定経営は困難となることが見込まれます。
 

2 自助努力と自治体からの支援

 現在の厳しい経営状況を踏まえ、トキ鉄ではコスト削減と増収策に取り組んでいます。
 列車のワンマン化や利用実態にあわせた減車、JR時代からの運行縮減に伴う過大な施設・設備をスリム化するとともに、開業以降社員を約1割削減するなど、経費削減を進めてきました。
 一方、リゾート列車「雪月花」を活用した、インバウンドを含む誘客促進、二本木駅など駅の観光拠点化、各種企画切符やトキ鉄グッズの販売、遊休資産の活用など収入確保にも努めてきたところです。
 また、開業当初からトキ鉄は、国や県、沿線自治体から、安定経営に対する補助金をいただいています。
 しかしながら、これらのご支援をいただきながら自助努力を積み重ねても、損益の状況を好転させるまでには至っておりません。
 

3 運賃改定

 元々、開業時の経営基本計画では、国や県、沿線市の安定経営支援をいただいたとしても、運賃を当時のJR運賃の1.3倍程度まで引き上げてはじめて経営が成り立つ見通しでありました。トキ鉄と同時に開業した富山、石川、長野の各県の並行在来線会社がみな値上げを行う中、トキ鉄は開業後も皆様から変わらぬかたちでご利用いただけるよう、運賃の急激な変化を緩和するための措置として、開業から5年間はJR運賃並みに据え置くこととし、6年目以降の運賃は改めて検討することといたしました。
 これまで、全国にある他の並行在来線会社の中でも最も低い運賃水準で、皆様に運行サービスを提供してきたところですが、このままの水準で推移した場合、現行の運行本数を維持することが難しくなることも予想されます。現在の厳しい経営状況に鑑み、このたび、経営基本計画の前提であり、また並行在来線の概ね他社並みの水準でもあります30%相当の改定をさせていただき、経営改善を進めていきたいと考えています。

◆定期外運賃における比較(並行在来線他社事例)

4 利便性の向上

 運賃値上げによりご利用の皆様には負担をお願いしなければなりませんので、トキ鉄では経営改善の推進と並行して、引き続きトキ鉄をご利用いただけるよう、以下のような取り組みを進め、利便性の向上にも努めてまいります。

  • 2020 年3月末に設定期間が終了する、他社線にまたがる区間の乗継割引は、トキ鉄単独実施分は継続とし、JRなど他社に対しても延長継続を要望します。
  • 旅行商品開発などを通じて、地域観光資源の情報発信を強化し、地域貢献(観光振興・交流人口拡大)に努めます。
  • 列車運行状況がスマホでリアルタイムに見ることができるサービスを開始します。
  • 自動車運転免許返納者を対象とした割引(フリー)切符を発売します。
  • 高齢者(75 歳以上)の皆様にお得なシルバー回数券を販売します。
  • 二本木駅のような、地域とコラボした駅の活性化を進めます。
  • ご利用者の皆様の声に耳を傾け、これまで以上に積極的にご意見を活かします。

 今後見込まれる厳しい経営環境の変化、特に急激な人口減少による利用者の減少や、避けて通れない設備施設の修繕・大規模設備更新などを考慮し、この地域の鉄道として永続的に走り続けていくために運賃改定を実施させていただきたいと存じます。
 今後は、経営改善に向け更なる自助努力を重ねるとともに、これまで以上に楽しんでトキ鉄をご利用いただけるよう精一杯取り組んでまいりますので、皆様のご理解、ご協力をいただきますようお願い申し上げます。

2019年 5月
えちごトキめき鉄道株式会社
代表取締役社長 嶋津 忠裕
 

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