4月定例社長会見
1 最近の営業・輸送概況
3月の運輸取扱収入は、対前年102.4%と前年を上回りました。これは、春分の日が3連休となった影響や北陸新幹線の開業効果などによるものと考えております。
平成27年度累計では、先買いの影響や北陸新幹線の第3セクター移管分などを除いた実勢値で申し上げますと、定期外は107.2%という大変良い数字でした。これは、山陽新幹線における40周年キャンペーン実施の効果や沿線企業も元気であったということ、また、北陸新幹線の開業効果などもあったと思います。定期につきましては、実勢値で100.3%ということで、若干ですが前年を上回る状況だったと考えております。
4月の運輸取扱収入は、11日までですが、土曜日・休日を中心とした近距離のご利用増やゴールデンウィーク期間の前売販売増などの影響により、対前年102.1%と前年を上回って推移しております。
3月のご利用状況は、前年比で山陽新幹線103%、北陸新幹線125%、在来線特急102%、アーバンネットワーク102%と、いずれも前年を上回って好調でした。北陸新幹線は、開業から一巡したわけでありますけれども、春分の日が3連休となったことなどもあり、前年を上回った数字となっております。
収入計 | 近距離券 | 中長距離券 | 定期券 | |
3月 | 102.4% | 100.5% | 104.9% | 97.1% |
27年度累計 | 107.8% | 103.5% | 109.2% | 107.5% |
4月 (4月11日まで) |
102.1% | 108.4% | 101.8% | 100.2% |
※注釈 実績は直営の速報値です。駅などでの取扱高(消費税を含む)を示します。
山陽新幹線 | 在来線特急 | アーバンネットワーク | |
3月 | 103% | 102% | 102% |
27年度累計 | 105% | 103% | 104% |
4月 (4月11日まで) |
103% | 106% | 108% |
(参考)
北陸新幹線のご利用状況は、前年同曜比で98%でした。(平成28年3月12日(土曜日)から4月11日(月曜日)と、平成27年3月14日(土曜日)から4月13日(月曜日)との比較)
※注釈 実績は速報値です。
※注釈 北陸新幹線は「上越妙高~糸魚川駅間」のご利用実績で、前年同曜比です。
※注釈 北陸新幹線の前年比は在来線特急「はくたか・北越」(直江津~糸魚川駅間)のご利用実績との比較です。
2 福知山線列車事故追悼慰霊式の開催
弊社が福知山線列車事故を惹き起こしてから11年が経とうとしております。極めて重大で悲惨な事故を惹き起こしてしまいまして、あらためまして、お亡くなりになられた方々に心から深くお詫びを申し上げると同時に、ご冥福をお祈りしたいと思います。また、ご遺族様やお怪我をされた方々とそのご家族の皆様に対しましても、心からお詫びを申し上げます。
4月25日に例年どおり、福知山線列車事故追悼慰霊式を開催いたします。私どもといたしましては、お亡くなりになられた方々へのお詫びとともにご冥福をお祈りし、哀悼の意を捧げる場として、これまでと同様、厳粛な気持ちで臨ませていただきたいと考えております。また、安全の取り組みをお誓いする場でもあると考えております。
ご出席でございますけれども、4月11日時点でいただいておりますご返事では、ご遺族様344名、お怪我をされた方274名にご出席いただくことになっております。そのほか、お亡くなりになられた方の会社や会社のご同僚、あるいは通われていた学校やご学友の方々にもご案内させていただいております。国からは国土交通省、兵庫県・大阪府両知事、国会議員や関係自治体の方々にもご案内をさせていただいております。
9時17分ごろに開式をいたしまして、黙祷の後、政府ご代表によります「追悼のことば」をいただいた後、私より「お詫びと追悼のことば」を申し上げたいと思っております。続きまして、「献奏・献唱」を行っていただく予定です。現時点では、「慰霊のことば」を述べていただける方はお申し出がございません。その後、ご遺族様、お怪我をされた方、救助救出にあたっていただいた近隣の皆様方、ご参列いただいた方々の順で献花をしていただき、最後に弊社役員などが献花をさせていただきます。
なお、式典終了後も13時から20時までの間につきましては、会場におきまして一般献花をお受けいたします。このほか、一般献花の時間帯にあわせまして、お亡くなりになられた方へのメッセージをお預かりいたします。事故現場におきましても、7時から20時までお名前の記帳をお受けいたします。
3 山陽新幹線の新たな保守用車導入
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震、東日本大震災などの大きな影響が出た地震を踏まえまして、「被災箇所への進入防止」「構造物対策」「脱線後の減災対策」という3つのテーマで地震対策を進めております。本日は、「構造物対策」における新幹線の電柱の建て替えと、「脱線後の減災対策」における逸脱防止ガードの敷設に伴うまくらぎ交換につきまして、作業を円滑に進めるための新たな保守用車導入についてお知らせいたします。
【新幹線用電柱建替車】
東日本大震災では、東北新幹線のコンクリート柱に折損などの被害が多数発生しました。これを受けまして、国土交通省主催の新幹線脱線対策協議会で議論がなされ、高架上のコンクリート柱に対する対策の必要性が示されました。
これを受けまして、当社では平成39年度末までに神戸から広島エリアのコンクリート柱約2,500本に対しまして、建て替えまたは補強という耐震対策を実施していく計画を立てております。その一環としまして、コンクリート製から鋼製の電柱への建て替えを進めております。この作業は高架の下にクレーンを据えて高架上の電柱の建て替えを行う必要があることから、高架下へのクレーン設置が可能な場所があるということが施工の条件となっております。
今回は、レール上を走る保守用車で、高架下の条件に関わらず電柱の建て替えが可能になる保守用車である「新幹線用電柱建替車」を導入いたします。この保守用車は、電柱に取り付いている部品の仮支持を行う支持装置、電柱の建て替えを行うクレーン装置、スムーズな取卸が可能な柱の運搬装置が1編成で可能なように集約されていることが特徴です。
施工能力は最大で1日2本です。2編成を導入しており、7月ごろをめどに本線での使用開始を予定しております。導入費用は2編成合計で約4億円です。
【新幹線用まくらぎ交換機編成(逸脱防止ガードの敷設に伴うまくらぎ交換)】
2月に逸脱防止ガードの延伸敷設を発表いたしました。大阪から姫路までは終了いたしておりまして、今年度から平成34年度末までに、姫路から博多までの必要な箇所約110キロメートルの追加整備を予定しております。
今回の整備では、新幹線のバラスト区間において、定期的に行っているレールの取り替えによって発生するレールを逸脱防止ガードの部材として転用する構造を採用しております。これには、連続的にまくらぎの取り替えが必要となりますので、これを効率的に行うための保守用車である「新幹線用まくらぎ交換機編成」を導入いたします。
この保守用車の特徴は4点ほどあります。1点目は、道床バラストを吸引装置で一時的に撤去するということでございます。2点目は、新旧のまくらぎを機械的に自動的に交換いたします。3点目は、まくらぎをレールに自動的に取り付けをいたします。そのうえで、4点目に、吸引した道床バラストを再び散布して突き固めて軌道を整正するということです。まくらぎ交換の工程のほとんどを機械化したということが特徴です。なお、2点目の「新旧のまくらぎを90度回転させて左右レールの間で引き抜き・挿入する機構」と、「バラスト撤去・散布、まくらぎ交換、まくらぎの取り付けの一連の工程をひとまとめにセットした機械」は世界で初めてのものでございます。
まくらぎ交換の施工能力は1日約40本でしたが、この保守用車を使用することで、最大で1日200本と、5倍に向上します。1編成を導入しており、5月ごろをめどに本線での使用を予定しております。このようにまくらぎ交換を含めて逸脱防止ガードの整備を着実に進めてまいります。導入費用は約34億円です。
4 京都鉄道博物館開業式典など
京都鉄道博物館は、グランドオープンの4月29日に向けて、準備を詰めるとともに地元の方々や関係者の皆様への内覧会を行っているところです。
グランドオープン前日の4月28日に開業記念式典を開催いたします。11時から、本館1階の500系新幹線の前におきまして、ご来賓約200名の方々とともに開業をお祝いしたいということでございます。
あわせまして、旧交通科学博物館・旧梅小路蒸気機関車館の2つの館は、平成12年4月にイギリスのヨークにございます英国国立鉄道博物館と姉妹提携を締結しておりました。このたび、名前新たに京都鉄道博物館としてスタートするにあたりまして、あらためて姉妹提携を結ばせていただくこととなりました。開業式典に先立ちまして、4月28日の9時から、旧二条駅舎前で姉妹提携の調印式を開催いたします。英国国立鉄道博物館館長のポール・カークマン氏と京都鉄道博物館館長の三浦英之との間で、調印式を開催いたします。ご来賓として英国副総領事のジェームス・ベンド氏にご参加いただくとともに、私も立ち会わせていただきます。
いよいよ京都鉄道博物館の開業が近づいてまいりました。ご来館いただいた方にさまざまな角度から楽しんでいただけるような準備を、関係者一同、一生懸命やっているところでございます。重ねてのお願いでございますが、京都鉄道博物館にお越しいただく際には、博物館に駐車場はございませんので、公共交通機関などをご利用いただきますようお願い申し上げます。