駅に響いたブレーキ音 線路に落ちた男性が願うホームドア設置

有料記事

小川崇 角詠之
[PR]

 鉄道網が整備されるなかで、駅のバリアフリー化も進められてきた。誰もが安全・安心に利用できる公共交通機関であるために各社は模索を続けるが、ホームドアの設置率が1割にとどまるなど、まだ道半ばだ

 目が不自由な田村彰之助さん(71)=埼玉県和光市=は10年ほど前、JR横浜駅のホームから転落した。

 帰宅ラッシュの時間帯でホームは混雑していた。白杖(はくじょう)で乗客の間をぬって進むのは難しく、線路に近い点字ブロックの上を歩いていた。前方に人の気配を感じ、よけようと体をそらしたところ線路に転落。キーッというブレーキ音が響き、ホームに入ってきた列車は手前で止まったが、左足首を骨折した。

 当時、横浜駅に線路への転落を防ぐホームドアは設置されていなかった。田村さんは「命に関わる問題。ホームドアはどんどんつけてほしい」と話す。いまも目的地に近い駅が複数ある場合、多少遠くてもホームドアがある駅を選ぶという。

 国土交通省によると、昨年3月末現在、ホームドアが設置されているのは全国の9411駅のうち943駅と1割程度。1日10万人以上が利用する154駅でも、設置済みの乗り場(ホーム)は全851カ所のうち334カ所と4割にとどまる。国交省は、2025年度までに設置済みの乗り場を全国で3千カ所、利用者が10万人以上の駅では800カ所に増やす方針だ。

 ただ、列車によって編成数や扉の位置が異なり、ホームドアの位置と列車の扉が合わないことがある。鉄道各社での乗り入れも多い首都圏では、車両を共通化する動きもある。国交省によると、1駅あたりの設置費用も数億円程度かかり、ホームドアの重量に耐えるためのホームの補強工事でさらにコストが膨らむ場合もあるという。

「事件思い出した」、扉のずれで生じる混乱も

 ホームドアの運用が、混乱につながったケースもある。

 京王線の車両内で昨年10月…

この記事は有料記事です。残り1607文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

新聞の親子読み 記事一覧はこちら

新聞の親子読み 記事一覧はこちら

朝日小学生新聞から、あわせて読んでほしい記事をお届けします。[もっと見る]