安全装置だけでは防げない保育事故 検証に課題、今度こそ再発防止を

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記者解説 デジタル機動報道部・田渕紫織

 静岡県牧之原市認定こども園「川崎幼稚園」で、河本千奈ちゃん(3)が送迎バスに置き去りにされ、亡くなった。乗降した園児の数や名前を照合しておらず欠席確認もしていないなど、ずさんな安全管理が判明した。昨年も福岡で同じような死亡事故が起きていただけに、発生直後から再発防止策が議論され始めた。

 国がまとめた対策の柱は送迎に使われる園バスへの安全装置の義務化だ。年内に置き去りを防ぐ装置の指針を国土交通省がつくり、来年6月末までにつけるよう促す。韓国や米国の複数の州では、同様の装置の設置が義務づけられており、国内でも必要なことだ。

 だが、これだけで再発を防ぐのは難しい。都内のある園長は「しだいに面倒になって職員が装置の通知を切ったり、園児がいないか確認しなくなったりするのが怖い」とこぼす。川崎幼稚園では出欠確認アプリが導入されていたが、正しく運用されていなかった。

 置き去り以外にも重大な保育事故は相次ぐ。内閣府によると2021年は2347件で、集計法を変えた15年以降で最多だ。20年も21年も、それぞれ5人の子が保育施設で亡くなった。子どもの命を守るために幅広い対策が求められている。

 今回の国の対策は、バスの安…

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