北海道新幹線、工事費試算し直しへ 工事遅れや資材費高騰で 国交省

新田哲史
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 2030年度を目指している北海道新幹線の札幌延伸について、国土交通省は30日、事業費や工期を検証する有識者会議の初会合を開いた。資材価格高騰や工事の遅れで事業費が膨らむ懸念が出ており、費用を抑える方策も考えたうえで試算し直し、23年度当初予算に反映させたい考えだ。

 会議は非公開で行われ、国交省土木工学や経済学に詳しい5人の委員に工事の現状を説明した。

 札幌延伸の総事業費は1兆6700億円。12年の着工以来、物価上昇や消費税増税、トンネル掘削での追加補強工事、耐震基準の変更などでコストが増大している。厚生労働省のガイドライン改正で、トンネル掘削時の監視員配置が求められたことも影響しているという。

 工事の遅れも出ている。札樽トンネル(26・2キロ)は工事で発生する残土の受け入れ先が決まらず、着工が約3年遅れた。羊蹄トンネル(9・8キロ)は巨大な岩にぶつかり、掘削が中断されている。

 国交省は事業費の上昇や工期の延長などは「現時点では言えない」としている。ただ、財務省の諮問機関の財政制度等審議会は今年5月、札幌延伸の工事費が最大で7千億円増える可能性があるとし、「今後の工期の柔軟化の検討も行うべきだ」と指摘した。

 北陸新幹線の金沢―敦賀間では、開業予定の約2年前になって国交省が開業の遅れと追加費用の発生を発表。建設主体の鉄道・運輸機構の正副理事長が辞任する事態となった。国交省の担当者は「早い段階で精査が必要というのが(北陸新幹線の)反省を生かしたところではないか」と話した。(新田哲史)

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