JR貨物の犬飼新(しん)社長(62)が朝日新聞の取材に応じ、北海道新幹線の札幌延伸に伴う並行在来線の函館線(函館―長万部間、約148キロ)の存廃問題について、「一部でも廃止になれば全国の貨物ネットワークに多大な影響が及ぶ」との懸念を示した。廃線になった場合は「当社単独での維持は難しい」と語り、貨物網の維持に向けて国や北海道、JR北海道との4者協議に期待する考えだ。

 函館線の同区間は北海道と本州を結ぶ貨物の大動脈の一部で、廃止になれば鉄道貨物網が寸断される。犬飼社長は「北海道から関東や関西に発送される農産品に占める鉄道のシェアは高く、生鮮食料品を安定的に供給するライフライン。本州各地から北海道には宅配便や食料工業品、書籍など必需品を運んでおり、道民の生活にも極めて重要な役割を果たしている」と語った。

 北海道新幹線は2030年度に新函館北斗から札幌まで延伸される予定で、並行在来線の函館線(函館―小樽、約288キロ)はJR北海道から経営分離される。函館線の長万部―小樽間(約140キロ)は沿線自治体がすでに廃止・バス転換を受け入れた。函館―長万部間も、沿線自治体の間では新幹線に連絡する函館―新函館北斗間(約18キロ)以外を廃止・バス転換するとの意見が目立っている。

 貨物網の寸断への懸念が出ていることから、斉藤鉄夫国土交通相は並行在来線の沿線協議とは別に、北海道とJR北、JR貨物との協議の場を設ける方針だ。

 JR貨物の犬飼社長によると、貨物網の寸断で北海道発着の貨物列車がなくなれば、「全コンテナ輸送量の4分の1ほどにあたる年約413万トンが失われる」という。

 JR貨物の事業収支の大幅な悪…

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