京阪「降りてくる座席」再び 5000系、デビュー当時の姿で展示へ

松永和彦
[PR]

 「降りてくる座席」で知られ、昨年9月に引退した京阪電車の5000系車両。来春、デビュー当時の姿に復刻した車両の展示が大阪府枚方市の商業施設「くずはモール」で始まる。もちろん座席は昇降できる状態に整備し、イベントなどで披露する予定だ。

 工夫を凝らした5000系を後世に残そうと、京阪電気鉄道などが「5000系復刻プロジェクト」を立ち上げた。車両展示はその一環として計画された。

 京阪によると、1960年代の高度成長期には乗客が増え、ラッシュ時の混雑緩和が課題だった。そこで開発されたのが5000系。乗降をスムーズにするために通常より多い5扉を設置し、混雑時以外は天井付近に収納した座席を降ろして3扉対応にして座席数を増やした。日本で初めての技術だったという。また、京阪では初めてとなるアルミ合金製車両だった。

 5000系は70年12月に京阪線で導入し、最盛期には7編成(1編成7両)が普通や準急などで使われた。しかし近年は、ホームドアの設置を進めるにあたり、他の車両と扉の位置が異なる5000系の運用が難しくなり、徐々に数を減らしていくことになった。2021年9月、最後の1編成の運行が終了した。

 くずはモールの「SANZEN―HIROBA(さんぜん―ひろば)」には現在、京阪の「テレビカー」(旧3000系)が展示されている。そこに、5000系の1両を半分に短くした車両を新たに展示する。

 車体のカラーリングはデビュー当時のものに戻し、床の色など内装も当時のものに戻して展示。「降りてくる座席」は昇降できる状態にし、イベントなどで披露する予定という。5000系に関連した鉄道部品やオリジナルグッズの販売会も今後予定している。

 京阪は現在、京橋駅のみにあるホームドアを順次増やしていく。バリアフリー化に充てる費用を運賃に上乗せできる国の制度を活用し、来春から一部の路線を除いて値上げとなる。(松永和彦)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら