近鉄初乗り20円アップ 地元反発受け、国が条件付き認可 来年4月

松永和彦
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 近畿日本鉄道の初乗り運賃が、来年4月から20円高い180円になる。国土交通省が2日、近鉄から申請があった運賃改定を認可したと発表した。

 近鉄によると、通勤定期は平均18・3%、通学定期は平均9・2%の値上げになる。特急料金は据え置く。ケーブルカーは対象外。コロナ禍で運輸収入がピークの半分以下に減ったことなどが理由。値上げで年間約156億円の増収を見込み、車両や設備の更新、バリアフリー整備などに充てるという。

 今年4月の値上げ申請時には、沿線の奈良県荒井正吾知事が、納得がいく説明が必要だとして反発。7月の国交省運輸審議会の公聴会で、「サービスの向上がないまま負担だけを求めるのであれば、県民の理解は得られない」などの意見を述べる異例の展開となった。

 国交省は認可にあたり、審議会の答申を踏まえて来年度から3年間、近鉄の経営実績を確認することを条件とした。荒井知事は「公聴会で述べた意見を踏まえたものと考え、一定の評価をしたい」とコメントを出した。

 近鉄の担当者は「安心安全な輸送サービスをこれからも継続し、将来にわたり公共交通機関の使命を果たしていく」と話した。

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この記事を書いた人
松永和彦
和歌山総局
専門・関心分野
高校野球、吹奏楽、地方行政