交通事業者の8割「補助ないと2年以内に経営限界」 研究機関が調査

吉川喬
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 両備グループの研究機関「地域公共交通総合研究所」(岡山市北区)は、鉄道やバス会社など全国の交通事業者へ新型コロナウイルスの影響を尋ねた調査結果をまとめた。公的な補助・支援が無ければ「経営の限界が2年以内にくる」と8割が回答。長引くコロナ禍に苦しむ交通事業者の実態が浮かんだ。

 調査は6月下旬~7月下旬、同研究所が全国の鉄道やバス会社など506社へ調査票を郵送し、計120社(23%)から回答を得た。調査は2020年から約半年おきに実施しており、今回が4回目。

 調査では22年3月時点の状態が続き、補助・支援が無い場合、どれくらいの期間経営を維持できるか尋ねた。回答した105社のうち81社(77%)が2年以内と回答。1年以内は全体の4割に上った。影響なしと答えたのは2割にとどまった。

 コロナ禍のよる経営への逆風は深刻だ。外出自粛などが続き、落ち込んだ輸送人員はいまだに回復しきっていない。輸送人員について、回答した120社のうち40社(33%)がコロナ前から3割以上減少とした。また、今後の対応として、減便を予定する事業者が3割、路線廃止が1・4割だった。コロナ禍で増えた負債の返済期間(回答97社)では、10年以上(自力返済困難を含む)が6割超となった。

 研究所は、コロナ前から続く利用減も含め、黒字体質化へ向けた業態変革が必要と指摘。鉄路や車両などを行政が設置・所有し、運営を民間に委ねる「公有民営」などを広げていくべきだとしている。

 小嶋光信・代表理事(両備グループ代表)は、「思った以上のダメージが地域公共交通にあり、需要が戻らない状態が長期化している」と説明。「地方創生の大きな要は公共交通。(公共交通が)無くなった地域は激しく衰える。ここで踏みとどまりたい」と話した。(吉川喬)

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