電車魚礁知ってますか 廃止から半世紀の名古屋市電、終着駅は海の底

有料記事

柏樹利弘
[PR]

 市民の足として親しまれながら、約50年前に廃止された名古屋市電。路面電車としての役割は終えたが、車両の一部は今も愛知県内で「余生」を送る。「終着駅」は海の底だ。

 渥美半島の南側にある太平洋ロングビーチ。眼前には遠州灘が広がり、波のうねりが響く。

 「昔は『電車魚礁』のあたりに行くと、魚が山のようにいてね。カワハギの群れで海が真っ黒に見えるぐらいだった」。愛知外海漁協(田原市)の吉武正康組合長(61)は、懐かしそうに振り返る。

 地元漁師の仕事はシラス漁が中心だったが、不漁の時期には釣り人を乗せた遊漁船を出す人が多かった。吉武さん自身、26歳で専業として遊漁船を始めた。

 沖合には、魚がすみ着く天然礁がいくつかあった。その中に交じって、漁師仲間の間で人気スポットとして語り継がれていたのが、「電車魚礁」と呼ばれる人工の魚礁だ。イサキ、サバ、イワシ……。この魚礁周辺ではなんでも取れた。

 この電車魚礁こそ、名古屋市電を利用したものだ。近年はかつてほど魚が集まらなくなったといい、吉武さんは「最近の若い人は存在自体知らないかもしれんですね」と話す。

 1898年、京都に続く国内…

この記事は有料記事です。残り1015文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら