100円稼ぐのに経費2万2千円も どうなるJR東の赤字ローカル線

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小川崇 松本真弥
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 JR東日本は28日、利用客が特に減っている地方路線ごとの収支を初めて公表した。1日1キロあたりの平均利用者数(輸送密度)が2千人未満の35路線66区間のすべてが赤字だった。これで、JR東海をのぞくJRグループ5社の収支が出そろった。各社は採算性が悪化していることを強調し、赤字路線の見直しに向けた議論を自治体と進めたい考えだ。

 新型コロナウイルスの影響が本格化する前の2019年度と、全体的に利用者が減った20年度の営業損益を公表した。

 公表対象の赤字区間は19年度では青森~千葉の13県にまたがり、総営業距離は在来線全区間の35%程度にあたる約2200キロにのぼる。国が見直し議論を促す対象から外した特急列車や貨物列車が走る区間も一部含まれる。

 JR東によると今回の公表対象は2千人未満の路線だけで、赤字のところは4千人未満などを含めればほかにもあるという。

 公表データをもとに5社の赤字区間の総営業距離を集計すると、少なくとも全体の5割弱に上る。実際は赤字区間の距離はさらに伸びるとみられる。

 最も赤字幅が大きかったのは羽越線村上(新潟)―鶴岡(山形)間で19年度が約49億円、20年度は約53億円。全体の赤字の総額は19年度が約693億円、20年度は約707億円に上る。

 運行コストに対して運賃収入がどれだけあるかを示す路線ごとの「収支率」は、19年度が0・6~17・4%、20年度は0・5~14・5%だった。最も低い陸羽東線鳴子温泉(宮城)―最上(山形)間の場合、20年度は100円の収入を得るために2万2149円かかる計算だ。

 JR東によると、1980年…

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この記事を書いた人
小川崇
長崎総局
専門・関心分野
戦争・平和