最期に交差するそれぞれの「飛翔」 消える名古屋の顔、よぎるあの姿

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三宅梨紗子
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 JR名古屋駅前の円錐(えんすい)形のモニュメント「飛翔(ひしょう)」の撤去工事が進んでいる。リニア中央新幹線の開業に向けた駅前再整備の一環で、工事は10月下旬までに終える予定だ。名古屋の「顔」として長年親しまれてきた「飛翔」が消えることに、往時をしのび、様々な思いが交差する。

 今月9日未明、飛翔の上部11メートルが切断され、クレーンでつり上げて搬出された。撤去に向けた工事は6月上旬に開始。今後は手作業でパイプを切り出し、撤去後の跡地は大きな広場になる見通しだ。

 「飛翔」の「最期」を収めようと、土曜の午前2時過ぎの現場には、カメラを構える人の姿が目立った。名古屋市中村区の高校3年、石井環さん(17)もその一人だ。一眼レフと三脚を持参し、「当たり前にあったものがなくなってしまうのはさみしい」。

 工事が始まってからの1カ月間で、受験勉強の合間をぬって10回以上撮影に訪れたという石井さん。上部が切断されると「こうやって街は変わっていくんだな」と感慨深そうに見つめていた。

「ぐるぐる」「トキントキン」の愛称 インド映画にも登場

 「飛翔」は市制100周年を記念し、1989年に設置。かつては噴水やライトアップ機能があった。形状から「ぐるぐる」「うずまき」のほか、名古屋弁でとがっているという意味の「トキントキン」との愛称も。91年に名古屋を舞台に撮影されたインド映画「ボンベイtoナゴヤ」では、主人公とヒロインが「飛翔」で踊る姿もあった。

 「飛翔」のデザインは、コン…

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三宅梨紗子
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
福祉、多文化共生