岡電で最長老の路面電車「3005」 いち早く夏休み、その理由は

神崎卓征
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 岡山電気軌道(岡電)が保有する最も古い路面電車「岡電3005」が、初夏の運転を終え「夏休み」に入った。1953年に製造された古い路面電車で、空調がなく、夏季は乗客を乗せて運転することが出来ないためだ。涼しくなる秋に、再び運行する。

 岡電3005は元々、栃木県の東武日光軌道線で走っていたが、1968年に廃線となったため、岡電に10両が譲り渡された。現在、岡電で走っているのは「3005」と「3007」で、稼働している3000形の車両は国内でこの2両だけという。

 3007は岡山市出身の工業デザイナー水戸岡鋭治氏が漆黒の岡山城をイメージしてデザインし、リニューアルした「KURO」だ。3005は東武日光軌道線を走っていた頃の塗装を復元した車両となっている。

 初夏の最終運転となった今月4日は、岡山市中区徳吉町の車庫から岡山駅前までを2往復した。鉄道ファンが辻々でカメラを構える中、年式を感じさせない軽快な走りで、満員の客を運んだ。たまたま3005に乗り合わせた岡山出身の俳優、八名信夫さんは「懐かしい電車だねえ」と、レトロな雰囲気に満ちた車内を楽しそうに見ていた。

ちょこっと運転 ちびっこに人気

 岡山電気軌道の路面電車に身近に触れることが出来る路面電車まつりが、3年ぶりに岡山市中区徳吉町の岡電車庫で11日開かれ、約2千人の親子連れでにぎわった。

 子どもたちの人気を集めたのは、車庫内の線路上を実際に運転できるイベント「ちょこっと運転」。子どもたちが運転席に1人ずつ座り、運転士の育成を担当している岡電運輸課教育担当スペシャリストの陶山賢一さん(41)がハンドルやレバーの操作を教えながら、約40メートルの距離を1往復した。

 路面電車祭りはコロナ以前はJR岡山駅前広場でも開かれたが、新型コロナウイルス感染防止対策として今回は1カ所のみでの開催となった。(神崎卓征)

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