地震、大雪…安全対策どこまでも 東北新幹線40年 人・文化結ぶ

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池田良
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現場へ! みちのく疾走40年①

 3月16日深夜、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が東北を襲った。「ダメだろうな」。JR東日本で新幹線の品質管理課長を務める日景(ひかげ)崇男(たかお)さんは直後にそう感じた。仕事を終えて仙台市内の自宅で休んでいたが、自宅と家族の無事を確認し、すぐに着替えて同僚と職場へ車を走らせた。

 仙台駅の南西約50キロ地点で、乗客75人が乗った新幹線「やまびこ223号」が脱線していた。第一陣として現場に4人の技術者を送り、状況を確認し乗客の安全と誘導を指示した。

 全線復旧した4月14日までの約1カ月間、昼夜、総出で、停車・脱線した17車両を順次、牽引(けんいん)する作業に追われた。「社会インフラを担う者としての使命感で早期復旧に臨みました」

 職場の新幹線総合車両センター宮城県利府町)は、JR東日本の安全運行の要だ。53万平方メートルの敷地内には、台車工場や組み立て工場など工程ごとに建屋が並ぶ。

 車両の設計・製造から、保守点検、リサイクルまで車両の「一生」を、グループ約1400人が24時間365日態勢で支える。3月の地震で脱線した車両も現在、同センターで損傷などの詳細な調査が行われている。

 センターの一角に、「事故に学ぶ」と題した展示コーナーがある。事故やトラブルとして報告された事例を示し、実際に壊れた部品や機器を展示する。

 実物に触れることでセンターで働くそれぞれの従業員が安全への意識を追体験し、共有するのがねらいだ。過去の教訓に学ぶJR東社内の展示・研修施設は、福島県白河市にもある。日景さんは「安全運行が当たり前の世界。ちょっとした出来事でもみなで共有し学ぶことが大事」と話す。

 東北各地を走る新幹線は、「雪」と「地震」が運行上のリスクとしてつきまとう。豪雪地帯の一部の駅では、列車の台車の下部に温水を噴きかける融雪装置を設ける。車両の逸脱防止装置は、2004年の新潟中越地震上越新幹線が脱線した事故を教訓に、08年までにすべての新幹線車両に導入した。

 それでも、3月の地震では脱線を防ぎきれなかった――。

 「安全運行に完璧、終わりは…

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