100円稼ぐのに経費1401円 JR四国で収支最低の線区を訪ねた

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福家司 杉田基
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 赤字ローカル線の存廃を巡る論議がJR各社で本格化している。5月17日に公表されたJR四国の線区別収支では、利用者の減少に加え、新型コロナウイルスの影響で、2020年度はついに全線赤字に。100円の収入を得るための経費が1千円を超える線区を訪ねた。

 愛媛県宇和島市高知県四万十町の山間部を結ぶ予土線(76・3キロ)の営業係数は1401円に上り、JR四国管内で最悪だった。発表から4日後、予土線の利用を呼びかけるイベント「予土線FunFun祭り」が開かれた。0系新幹線に似せた「鉄道ホビートレイン」の運行や、歴代ウルトラマンラッピングされた「ウルトラトレイン号」の最終運行もあり、地元住民と鉄道ファンらでにぎわった。

1日4往復、「生活路線になり得ない」

 JR窪川駅(四万十町)であったオープニングセレモニーで、高知県側の利用促進協議会の会長を務める中尾博憲町長は「経営環境はますます深刻だが、沿線の市町で精いっぱい利用促進に努力していきたい」とあいさつした。一方で、中尾町長は取材に、「列車本数が少なく、生活路線になり得ない」と話した。

 実際、高知県側は1日4往復にまで減っている。通勤通学の足としては欠かせないが、昨年3月のダイヤ改定で、窪川発の最終列車が約1時間繰り上げられ、午後5時40分発となった。始発は午前6時20分発で、残りは午前10時台と午後1時台にある。

全線赤字のJR四国ですが、路線網をどう考えていけばいいのでしょうか。記事後半では、公共交通政策専門の名古屋大教授の見解を紹介します。

 町内の打井川駅から窪川高校…

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