走行中の電車内で事件…その時あなたは 焦点は次の駅までの数分間

三嶋伸一
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 走行中の電車内で刃物を振り回す暴漢に遭遇したら、どう対応すればいいのか――。小田急電鉄京王電鉄で昨年起きたような刺傷事件を想定した訓練や、車両内への警備員配置が県内の鉄道会社で始まった。焦点は事件発生から最寄り駅に停車するまでの数分間。走行中の車両は外からの応援が難しく、乗客の安全確保は簡単ではない。

 北総鉄道の印西牧の原駅(印西市)で4月、走行中の車内で男が液体の入ったスプレーを乗客に吹きかけ、ナイフで切りつけたとの事件を想定した訓練があった。ホームに止めた車両を使って、駅員と印西署員ら約50人が参加した。

 駅員4人が乗客役となり、走行中と見なした車内で、乗客1人が犯人役の警察官に切りつけられた。乗客らは隣の車両に逃げ、1人が車両後部にある非常通報装置で車掌に通報。車掌は最寄りの駅で停車することを指令所に連絡し、最寄り駅の駅員が警察に110番通報して救援を要請した。

 その後、駅に到着したとの想定でドアが開くと、車掌と駅員が車両や駅に備え付けの防護盾を持って、車内で犯人と対峙。やがて印西署員らが駆けつけ、ホームに逃げ出した犯人を押さえつけ現行犯逮捕した。

 今回の訓練では駅への停車を優先して、停車するまで車掌は車内に出なかったが、状況に応じて車掌が出ることもあるという。松澤新市・安全推進担当課長は「当社路線なら次の駅まで4分程度で停車できる。それまでお客様は安全な車両へ避難するとともに、非常通報装置で現場の情報をお伝えいただきたい」と、乗客には車内アナウンスに従いながら自らの安全を図ってほしいとした。

スカイライナーに警備員「必要と判断」 京成幹部が語る事情

 京成電鉄は4月25日から、成田空港と都心を結ぶスカイライナーなど有料特急に警備員の配備を始めた。有料特急は停車駅間が長いことから、全9編成に1人ずつ常駐させることにしたという。配置に伴ってスカイライナーの特急料金を50円値上げした。

 警備員は防刃チョッキに防刃手袋、特殊警棒を装備。車内を往復して、不審者や不審物に目を光らせる。鉄道の警備経験のある中から16人を選抜し約10日間の訓練を受けた。不審者が暴れ出した場合は、車掌とともに対処する。

 同電鉄の田中亜夫(つぐお)・鉄道本部長は「これまで防犯カメラなどの対策をしてきたが、スカイライナーでは2駅間が最大6分程度かかることなどから、追加対策が必要と判断した」と話す。

 福岡から帰省途中の富山市の会社員(30)は「50円の値上げで配備してくれるならうれしい。実際に起きるとパニックになると思うので、適切なアナウンスをお願いしたい」と話した。(三嶋伸一)

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