「もう少し生きたら?」緊迫の新幹線、乗客男性が声をかけた相手は

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吉田啓
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 「死のう」と思い詰めて、九州新幹線の車内で放火し、焼身自殺を図ろうとした男。自殺を思いとどまらせたのは、乗り合わせた見知らぬ男性からの「ある言葉」だった――。

 28日に熊本地裁であった、威力業務妨害と器物損壊罪に問われた住所不定、無職の三宅潔被告(69)の公判。弁護人からの質問に、同被告は車内で火を放った直後になぜ「改心」したのか、経緯を詳しく語った。

 起訴状などによると、事件があった昨年11月8日の朝、三宅被告はコンビニで缶入りのライターオイルを買った。焼身自殺するためだった。

 その8日前、東京で、京王線車内で男がナイフで乗客を刺し、車内にライターオイルをまいて火を付けた事件のことが頭にあった。

 オイルを購入後、JR熊本駅熊本市)に向かい、出水駅(鹿児島県出水市)までの切符を購入した。

 4万4千円ほどの所持金の中から、持っていた千円札で買うのにちょうどよい運賃だったからだ。乗車前には、車内で火をつけることは考えていなかったが、乗車して喫煙所でたばこを吸ったら、こんな考えが頭をよぎった。

 「出水まで行っても死に場所は見つからないかも知れない」。座席に戻ると、カバンからオイル入りのペットボトルを出したり入れたりした。

 「ここで死のう」。決意して床にオイルをまき、持っていたレシートに火をつけて投げると、通路に炎があがった。

 ところが、後ろの座席にいた…

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