安全への願い歌にのせて 17年前の脱線事故、18時間後救助の男性

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岩本修弥
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 2005年4月に起きたJR宝塚線(福知山線)脱線事故で両足に重傷を負った男性が17日、兵庫県川西市であったチャリティーコンサートに出演した。事故から25日で17年。コロナ禍で体験を語る場は途絶えてきたが、決して風化させないとの決意を新たにした。

 ♪今まで当たり前の日々の事がなくなることで初めてわかる

 川西市の勝福寺。ギターを弾きながら歌う兵庫県伊丹市職員の山下亮輔さん(35)の声が堂内に響き渡った。

 事故の経験をもとに作ったオリジナル曲「君と歩く道」だ。山下さんは「退院直後、夜寝る前に毎日考えて作った。今度は自分が目の前で困っている人の支えになれれば」と聴衆に語りかけた。

あの日、先頭車両に乗っていた

 17年前の4月25日は近畿大の1年生だった。最寄りのJR伊丹駅で電車を待っていた。

 電車は伊丹駅で約72メートルオーバーランした。2両目の位置に並んでいた山下さんは、バックする車両を追い、先頭車両の一番前の扉から電車に乗り込んだ。

 電車の進行方向に体を向け、小説を手にしながらイヤホンで音楽を聴いていた。車内アナウンスで、さっきのオーバーランのおわびが流れた。

 その直後だった。カーブにさしかかると電車が大きく傾いた。「ガガガー」。横転した電車が地面と接触する音が大きく響いた。

 覚えているのはそこまでだ…

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