長崎をガタンゴトン走り続けて1世紀 路面電車の魅力を紹介

三沢敦
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 ガタンゴトンと音を響かせ、長崎の市街地を走り続ける長崎電気軌道の路面電車。大正時代の開通以来、戦争や原爆、大水害など多くの困難を乗り越えてきた。1世紀以上にわたって市民の足として親しまれてきた乗り物の魅力を紹介する春の特別企画「長崎電車展」が長崎市科学館(同市油木町)で開かれている。入場無料で5月8日まで。

 会場では、戦前に製造された木造車両の実物大模型が来場者を迎える。運転台に立って、電車を発進させるコントローラーに触れてみたり、行き先表示板を変えてみたり。子どもたちが運転手気分を楽しめる。

 同市浜口町の病院下―築町の約3・7キロで路面電車の運行が始まったのは1915(大正4)年11月16日のことだ。

 45年8月9日の原爆投下時には車両も被爆。従業員100人以上が犠牲になった。299人の死者・行方不明者を出した82年7月の長崎大水害では3日間の運休を余儀なくされた。

 企画展はこうした激動の歴史を振り返りながら、電車の動く仕組みや、開業当初の1形から5000形までの車両構造の変遷、昔の車両の部品や乗務員の道具、過去に発行された記念乗車券など路面電車の魅力を多角的に紹介。

 「次世代化する路面電車」のコーナーでは、バリアフリーに対応した超低床車両としてこの春導入した6000形の特徴や構造などにスポットを当てたパネルも展示している。

 「二酸化炭素排出実質ゼロに向けた取り組みが加速するなか、路面電車は排出ガスを出さないエコな乗り物として見直されている」と担当者。「車社会にのみ込まれずに生き残り、市民の暮らしを支えている身近な乗り物について考えるきっかけになれば」と来場を呼びかけている。(三沢敦)

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