仙台以北の新幹線が再開

池田良
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 【宮城】3月の福島県沖地震の影響で一部区間が不通となった東北新幹線は4日朝、仙台―一ノ関(岩手県一関市)間で臨時ダイヤの運行が始まった。これで仙台以北は運転が再開したことになる。JR東日本は残る福島までの仙台以南を20日前後に再開させ、全線復旧を目指す。

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 閉鎖していた仙台駅の新幹線ホームが19日ぶりに再開した。4日は朝早くからスーツ姿の人たちが行き交い、安堵(あんど)の表情を見せた。

 この日午前中に青森県八戸市の実家で母親の法事があるという神奈川県海老名市の会社員、古館(ふるだて)支朗さん(60)は、列車を乗り継いで仙台に前泊。再開を待ちわびていた。「直前までニュースなどで運行を確認していた。自宅最寄りの高速バスはすべて満席だった。法事に出席できない覚悟をしていたので助かりました」

 一方、盛岡駅から仙台駅に降り立った岩手県矢巾町国家公務員、石川実有(みゆう)さん(27)は、この春の人事異動で仙台での勤務が決まり、4日が初出勤だという。本来は1日だった。「再開が遅れたら仙台でのホテル暮らしも検討していました。自宅から通えるのはありがたいです」とほっとした様子だった。

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 JR東日本によると、3月の福島県沖地震で車両が脱線した東北新幹線で、計約1千カ所の損傷が見つかった。主にレールのゆがみなどの軌道変位・損傷約300カ所▽電柱の傾きなどの電柱被害79本▽高架橋の亀裂など土木設備被害約60カ所。東日本大震災で見つかった約1200カ所の損傷に次ぐ規模で、これまでに乗客5人からけがの申告があったという。

 直後から不通となった那須塩原(栃木県)―盛岡間約350キロのうち、同22日には那須塩原―郡山(福島県)と一ノ関―盛岡の2区間で、4月2日には郡山―福島間でそれぞれ臨時ダイヤの運行が始まった。

 残る不通の福島―仙台間にある白石蔵王駅(宮城県白石市)の南西2キロ地点が「やまびこ223号」の脱線現場だ。全17両のうち12両をすでに新幹線総合車両センター(同県利府町)に移し、残る5両も6日以降、同センターへ移動させる。同社は「ゴールデンウィークまでに通常の状態に戻したい」としており、20日前後の再開を目指す。(池田良)

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