秋田・函館方面から仙台へ 東北新幹線が運行再開

井上怜 奈良美里 池田良
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 【岩手】福島県沖で3月に起きた地震を受け、一部区間で不通になっている東北新幹線が4日、一ノ関―仙台間で運転を再開した。盛岡―一ノ関間は3月下旬に再開しており、今回の運転区間拡大で、秋田・新函館北斗―仙台間を直接行き来できるようになったうえ、列車の本数も増え、利用者からは歓迎の声が上がった。

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 秋田駅では4日午前、列車の発着に合わせ、荷物を抱えた人たちが改札口を行き交った。

 秋田市の会社員、永田弘さん(41)は仙台市にある会社の事務所に向かった。週1回の打ち合わせのため、高速バスで4時間近くかけて通っていたが、それが約3時間になった。「本当に助かる」と喜ぶ。

 盛岡―仙台間は各駅停車のため、所要時間が通常より50分ほど延びているものの、バスに比べ座席数が多いのがいいという。「満席を心配して早めにチケットを取る必要がなく、時間に余裕ができたのがありがたい」と話していた。

 一方、盛岡市の会社員、山道楓さん(28)は新潟県にある本社への出張に、本来は大宮経由で向かうところを、仙台―福島間が不通のため、新幹線で秋田まで行き、そこから在来線で向かうといい、倍近い約7時間かかる。

 「早く全面復旧してほしいが、ちょっとした観光だと思って我慢します」と駅弁を手に乗り込んだ。

 盛岡駅では、この日の運転再開に合わせて列車の本数が増え、これまで盛岡―一ノ関間で上下各6本だったのが、盛岡―仙台間で通常の約6割に当たる各20本になった。

 医師の田沢秀樹さん(60)は一ノ関駅まで通勤しており、「今まで朝早い列車しかなくて、不便だった」と話す。医療従事者の男性(72)は勤務先の最寄りが水沢江刺駅で、始業時間に間に合う列車がなく、車で通勤していた。久しぶりの新幹線に「やっぱり楽です」と語った。(井上怜、奈良美里)

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 JR東日本によると、3月の地震で東北新幹線は、白石蔵王駅(宮城県白石市)の南西2キロの地点で脱線。レールのゆがみや電柱の傾き、高架橋の亀裂など計約1千カ所で損傷が見つかった。東日本大震災時の約1200カ所に次ぐ規模で、乗客5人からけがの申告があったという。

 地震直後から不通となった盛岡―那須塩原間約350キロのうち、3月22日に郡山―那須塩原と盛岡―一ノ関の2区間で、4月2日には福島―郡山間で、それぞれ臨時ダイヤでの運転が再開された。

 残る不通区間は仙台―福島間で、現場に残された全17両のうち、12両はすでに新幹線総合車両センター(同県利府町)に移されており、残る5両も6日以降、仙台駅から同センターへ移動させるという。

 JR東日本は「ゴールデンウィークまでに通常の状態に戻したい」としており、20日前後の再開をめざしている。(池田良)

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