戻らぬ乗客 高速バスが岐路 四国高速バス社長に現状と展望を聞いた

福家司
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 【香川】本四架橋の開通や高速道路網の発達とともに路線を拡充してきた四国の高速バスが、コロナ禍で岐路に立たされている。全国でも珍しい高速バス専業で近年まで事業展開してきたバス会社、四国高速バス(高松市)の白川統人社長(79)は、「走れば赤字」と現状を嘆き、コロナ収束後も利用者の回復は厳しいとの見通しを示した。

 香川県から京阪神や四国各地などに路線を持つ同社は、昨年度4億円の赤字。今年度も2億円余りの赤字が見込まれるという。白川社長は「高速バスは1便当たり乗客が15人いれば、すべての運行経費がまかなえる。10人なら燃料費や運転手の賃金などの直接経費はまかなえる。それが現在は7、8人だ」と説明する。

 今年度の乗車人員、収入はともにコロナ禍前の2019年度の3割強で、昨年度よりは改善しているが、依然低水準が続くという。「2、3月は例年、人の移動が増え、高速バスはかき入れ時。3月はワクチン3回目接種やまん延防止等重点措置の解除などで回復傾向だが、黒字が出るほどにはなっていない」。

 同社ではこの2年間、減便や希望退職を募るなど、経費削減に打てる手はすべて打ってきた。「何とか新年度はコロナが収束してほしい」と願うが、コロナ収束後も、元の乗車人員にまで回復しないと予測する。

 理由について、「働き方が変わり、利用者の3~4割を占めていたビジネス客の出張も減る。さらに、ほかの交通機関より安いため、大阪などへ遊びに行く乗客も多かったが、コロナ禍で個人所得が減り、当面は回復しないだろう」と述べた。

 現在、コロナ収束後のダイヤを共同運行各社などと協議しているが、「たとえば32往復(現在は15往復に減便)の高松―大阪線は、20往復程度でいいのではないか」との考えも示した。

 同社は高速バス専業だったが、収入減少を補うため昨年度から、貸し切りバス事業に参入した。「ゆめタウン高松のバス停に売店を設けることや、イチゴの栽培に乗り出すことも考えている」とも明かし、経営の多角化を進める方針という。(福家司)

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