ことでんの立体交差事業 香川県の都市計画の廃止方針決まる

福家司
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 高松市中心部の渋滞対策のために香川県が計画していた高松琴平電気鉄道(ことでん)を高架化させる立体交差事業について、県の検討委員会は、事業実施の都市計画の廃止方針を承認した。県の財政難などから2010年に事業中止が決まっていたが、ようやく計画自体が廃止されることになる。

 28日に開かれた検討委では、昨年11~12月に県が実施した住民アンケートの結果が報告された。電車が地上を走っていることによる生活への不都合は、「特にない」「あるが許容の範囲内」が合わせて85%を占めた。また、市による将来推計でも、市全体の自動車交通量は減少することが見込まれることから、踏切での渋滞が現在より悪化することは考えにくいとした。

 さらに、「ことでん高架化」という都市計画が残ったままだと、慢性的な渋滞が発生して改善要望の強い本町踏切への抜本的対策が実施できないことなどの影響もこれまで指摘されていた。これらを踏まえ、県は計画廃止の方向性を示し、全会一致で承認された。

 本町踏切を巡っては、市が暫定的な改善に向けた工事をすでに始めており、中長期的には高架道路を通す案が示されている。検討委で、高松市の板東和彦・都市整備局長は「来年度以降のまちづくりのロードマップがなぜ示されていないのか」と尋ね、県側は次回以降の検討会で示す意向を示した。

 ことでんの川上純一専務は検討委後に取材に応じ、「当社にとって重要な営業拠点である瓦町の北側3駅をどうしていくか、今後の議論の場を作っていただける可能性がでてきた」と歓迎しながらも、「都市計画が長年放置され、新たなまちづくりの議論が早く始められなかったのは残念だ」と述べた。

 ことでんの連続立体交差事業は、市中心部を走る琴平、長尾両線の計約3・5キロを高架化し、28カ所の踏切を解消。高松築港駅をJR高松駅南側に移して乗り換えの利便性を向上させる計画で、1998年に都市計画決定。しかし、県の財政難などで2005年に事業は一時休止され、10年には事業中止が決まっていた。(福家司)

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