鉄道運賃に値上げの波、JR西に続き他社も 「類を見ない経営危機」
箱谷真司 筒井竜平 松本真弥
鉄道運賃の値上げに向けた動きが加速している。コロナ禍で利用者が減り、線路や列車などの維持費用を捻出するのが難しくなっているためだ。29日には、JR西日本が一部区間の値上げに踏み切ると発表した。国でも運賃制度の見直し議論が始まっている。
「コロナで厳しい経営状況にある。少しでも減収を抑えたい」。来年4月からの値上げの理由を、JR西の営業担当者はそう話す。
京都線や神戸線など7路線の99区間で、普通運賃を10~40円引き上げるほか、通勤定期も値上げする。運賃値上げは、消費増税の反映をのぞき、1987年の国鉄民営化以降で初だ。
運行本数や駅員を減らすなどしてコストを削ってきた。だが更なる収益改善が必要だと判断。値上げで年約10億円の増収を見込む。
鉄道運賃の値上げは本来、国の認可が必要だ。だがJR西の今回の場合、一般的な区間と比べて特例的に安い「特定区間運賃」の適用エリア。国の認可なしに値上げもできる。2022年3月期の決算で2年連続の赤字を見込むなか、荒療治を迫られたかたちだ。
ほかの鉄道各社も値上げに動…