迫力の1号機関車は段ボール製 諫早駅で展示中

森川愛彦
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 1872(明治5)年の鉄道開業時、新橋―横浜に導入され、1911年から30年までは島原鉄道長崎県)で活躍した「1号機関車」を忠実に再現した段ボール製の機関車が4月3日まで、長崎県諫早市の諫早駅東口交流広場に展示されている。原寸大の迫力ある車体が人気を呼んでおり、連日、多くの人が訪れ、写真に収めている。

 1号機関車は英国製の蒸気機関車。国鉄の前身、鉄道院から島原鉄道が11年の開業時に譲り受け、30年まで旅客、貨物両方の輸送に活躍した。現在は鉄道博物館さいたま市)で展示されており、97年には鉄道車両として初めて国の重要文化財に指定されている。絵本「きかんしゃ やえもん」(阿川弘之文・岡部冬彦画)のモデルになったことでも知られている。

 段ボール製の1号機関車は全長7・4メートル、高さ3・6メートル、幅2・2メートルの原寸大で、使った段ボールは約500キロに及ぶ。制作したのは、福岡県八女市在住の元建築士で段ボール工芸家の島英雄さん(72)。これまでに「D51」や「C62」など5種類の車両を段ボールで制作している。今回の1号機関車は、西九州新幹線の開業半年前を記念して諫早駅に展示された。

 島さんによると、制作で最も苦労したのは資料集め。1号機関車の資料は少なく、収集に1年かかった。資料に写真はごくわずかで、大半は文献だったため設計図の作製が難しかったという。

 運行開始後、たびたび改良されたため、原型車両と島鉄時代の車両とでは、ボイラーの位置をはじめ、かなり意匠が異なっている。このため、島さんは原型と島鉄型の2種類を制作。今回展示されているのは島鉄型だ。

 20日のお披露目式で島さんは「今では島原の人でも、1号機関車を知らない人が多い。ぜひこの段ボール機関車を地元の子どもたちに見てもらいたい。そして、1号機関車の歴史を語り継いでいってほしい」と話していた。(森川愛彦)

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