春日部駅付近の高架化、新年度に事業本格化

佐藤純
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 春日部駅付近の高架化に伴う仮設線路(仮線)の工事が新年度に始まる。国と埼玉県春日部市東武鉄道が総額650億円を投じる大事業が、2031年度の完成に向け本格的に動き出す。

 高架化は、市街地の分断や踏切の解消、鉄道の輸送力増強などが目的だ。県によると、駅を含む区間では、まず東口側に伊勢崎線の仮線、続いて野田線の仮線を敷設する。さらに西口側に野田線の高架橋、伊勢崎線の高架橋という順序で工事を進める。他の区間でも順次仮線を敷いて、高架橋をつくる。

 今のところ、22~25年度に仮線の工事、25~30年度に高架橋建設、31年度に高架下や側道の整備を予定している。列車が仮線や高架橋を走り始める時期は決まっていない。

 事業全体で、県は仮線や側道のための用地取得と補償、道路工事を担当し、東武鉄道は鉄道に直接かかわる工事を受け持つ。東武鉄道は全体を5工区に分け、大手ゼネコンなどの共同企業体に発注した。東口の店の解体や鉄道敷地内の建物の移設、仮駅舎の工事は始まっている。

 県は新年度予算案に、用地買収費などとして23億1700万円を盛り込んだ。伊勢崎線の仮線用の用地買収は、22年度中に終わらせたいと説明している。

 高架化に期待する市は昨年3月、駅を含む約150万平方メートルのまちづくりの計画をまとめた。とくに西口と東口の駅前広場の計約1万6千平方メートルを「街の顔」として重視している。イベントスペースやオープンカフェなどで使い、交流を促す考えだ。その計画づくりの委託料2200万円を新年度予算に計上した。(佐藤純)

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 〈春日部駅付近の高架化〉 東武鉄道の伊勢崎線(東武スカイツリーライン)と野田線(東武アーバンパークライン)が通る春日部駅付近を高架にする事業は、2019年12月に国土交通省が認可した。県が事業主体で、駅を含めて伊勢崎線1・4キロ、野田線1・5キロを高架にする。駅の高架は地上から高さ約10メートル、幅は最大約70メートル。現在3面のホームが4面に、7本ある線路が8本にそれぞれ増え、駅西側の10カ所の踏切がなくなる。

 東武鉄道は、両線の直通運転をスムーズにしたり、現在単線の野田線春日部―運河(千葉県流山市)間を将来的に複線化したりする場合に対応が可能になるとしている。国が約280億円、県と市が約115億円ずつ、東武鉄道が約140億円を負担する。

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