肥薩線復旧費 「官民の連携必要」 沿線自治体が集会

屋代良樹
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 2020年7月の記録的な豪雨で被災したJR肥薩線の復旧をめざそうと、熊本、鹿児島、宮崎3県の沿線16市町村でつくる「肥薩線利用促進・魅力発信協議会」は20日、熊本県人吉市の人吉スポーツパレスでアピール集会を開いた。蒲島郁夫熊本県知事らが出席し、官民が連携して復旧費をまかなう必要性を訴えた。

 明治期に開通した肥薩線は、熊本県八代市鹿児島県霧島市をつなぐ。2年前の豪雨で国の近代化産業遺産群に指定された鉄橋の球磨川第一橋梁(きょうりょう)などが流され、約450カ所が被災した。総延長の7割近い八代(熊本)―吉松(鹿児島)間86・8キロは現在も運休が続いている。

 鉄道の早期復旧を願うため、沿線自治体の関係者や地元住民ら約200人が集まった。金子恭之総務相や蒲島知事、地元の松村祥史参院議員、鹿児島県選出の野間健衆院議員があいさつした。

 金子氏はあいさつで、「1度の災害で廃線になってはならない」と強調。「200億円以上かかるだろう復旧費をいかに削減し、国の支援の輪を広げてJR九州の負担を減らすのかが我々の使命」と語った。また、運休区間では被災前、利用者減少などにより年約9億円の赤字が出ていたことを課題に挙げ、復旧後について「国や県、市町村、民間が赤字路線を支え合っていくことが重要」と述べた。

 蒲島知事は「鉄道の復旧を実現するために熱意をもって取り組む。決して逃げることはない」と話した。松村氏は「JR九州にとって付加価値がある鉄道であることをアピールする必要がある」と話した。

 集会では「当たり前だった日常や風景を失って、改めて肥薩線が本当に大切なものであることを実感している」などと訴える「肥薩線の復旧を願うアピール」を採択した。

 JR九州は復旧費用について、朝日新聞の取材に「まだ試算中。国や県と検討した上、3月末までに復旧費用の開示をめざしている」と話した。(屋代良樹)

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