2月の大雪での大量運休の検証報告 JR北海道

日浦統 榧場勇太
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 2月の大雪で大量の列車に運休や遅れが出た問題で、JR北海道は16日、検証と改善策をまとめた報告書を発表した。2度にわたる大規模な輸送障害は、天候変化への対応の遅れや除雪の応援態勢の不備など、複合的な要因で起きたと分析。除雪作業の外部への応援要請や設備の増強などで改善を図るという。

 「大雪で力及ばず、交通インフラをまひさせた」。JR北の島田修社長は同日の記者会見で頭を下げ、謝罪した。

 JR北によると、2月の運休本数は7762本と単月で過去最多だった。6~13日は3525本、20~27日は3791本と2度にわたる大量運休が主要因だ。運休による減収は11億円、追加で発生した除雪費用は6億円に達したという。

 1度目は札幌圏を中心に17駅で29本の列車が駅から出発できなくなった。列車周辺の雪を取り除くのに時間がかかり、約55万5千人に影響が出た。

 2度目は始発前に運休を決めて、早めに除雪列車を出すなど深夜まで除雪作業を重ねた。だが、降り続く雪に除雪が追いつかず、約49万人の足に影響が出た。

 報告書では、運行再開時期の見通しが二転三転し、利用客の混乱を招いたと指摘。「除雪状況の把握がタイムリーにできなかった。再開時期の表現が『午後』『夜』などあいまいだった」と分析した。今後は監視カメラや積雪深計の設置などで情報を集め、具体的な表現を心がけるという。

 除雪の改善策では、今後は大雪時に災害対策基本法に基づく外部への応援要請も検討する。JR北はこれまで「線路内の除雪は特別な教育が必要」などの理由から内部での除雪にこだわってきたが、こうした姿勢が大量運休につながったことを踏まえた。要請先として、島田社長は「自衛隊も有力な選択肢」と述べた。

 除雪機械の増設も図る。大雪に見舞われることが少なかった札幌―新千歳空港間は常備除雪車が2台だけだったが、新たに2台増やす。道内に118台ある除雪車も、大型化や強馬力化を進める。雪や氷でポイントが作動しなくなった問題については、札幌駅を中心に融雪用ヒーターなどを増強する。

 一連の設備投資額は今後、数年間で数十億円規模になる見通し。ただ、同社の除雪費用は年間40億~60億円にのぼっており、さらなる投資増は経営の圧迫要因になりそうだ。

 発表に先立ち、島田社長は岩城宏幸・北海道運輸局長、鈴木直道知事と相次いで面談し、今回の事態について説明した。岩城局長は「可能なものからすみやかに改善してほしい」。鈴木知事は「道としても大雪時の協力のあり方の検討を進めたい」と述べた。(日浦統、榧場勇太)

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