点検!佐賀県新年度予算 新幹線開業開業効果見据え、観光・移住支援

松岡大将
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 西九州新幹線(長崎―武雄温泉)の9月23日の開業を控え、佐賀県新年度予算案には関係事業が並んだ。県は2007年度以降で計約200億円の建設費を負担しており、事業には新幹線がもたらすメリットを生かそうとするものや、デメリットを補うものなど様々なものがある。

 開業効果を生かす事業には4億円あまりを充てる。このうち、全国から人を呼び込む事業などに3億6400万円。長崎県と共同で実施する観光キャンペーンの負担金や、雑誌やCMでのPR、旅行会社向け商談会の開催費用を盛り込んだ。開業で移動時間が短くなるため、平均家賃が高い長崎市から移住者を取り込もうと、沿線の武雄、嬉野で移住相談会も予定している。

 また、スクウェア・エニックスの人気ゲーム「ロマンシング サ・ガ」のキャラクターをデザインしたラッピング列車を走らせる事業には4200万円。対象は、JR唐津線(佐賀―西唐津)と筑肥線(山本―伊万里)の全17両で、秋から運行する。ゲームのファンが県内をめぐって観光することを狙う。

 新幹線の開業は、観光振興や移動時間短縮といったメリットをもたらす一方で、並行在来線の長崎線で特急が減るというデメリットもある。利便性低下を懸念する声は根強い。

 予算案には、長崎線の沿線振興のために5千万円を盛り込んだ。高校生の通学で利用が多い肥前白石駅と多良駅に公衆WiFiを設置したり、肥前大浦駅(太良町)と肥前飯田駅(鹿島市)のトイレを水洗化したりする。

 また、JR九州の合理化で3月には県内の約7割の駅が無人駅になる可能性があるため、住民活動やカフェの運営で駅を活用する団体への支援に1100万円を計上した。

 7日に記者会見した山口祥義知事は「全県的に周遊してもらう仕掛けをどれだけ作れるかが勝負。開業と同じ年に在来線にも力を入れていく」と述べた。

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