天浜線がコロナ禍で苦境 県と沿線自治体1億円追加支援へ

大平要
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 第三セクター天竜浜名湖鉄道(天浜線、本社・浜松市)の経営を支えるため、静岡県と沿線6市町は3月、計1億600万円の追加支援を行う。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い2021年度は赤字に陥る見通しで、設備の修繕などの資金繰りが難しくなっているためだ。

 同社は今年1月25日、県と6市町が参加する天竜浜名湖線市町会議に、追加支援を要請した。21年度の旅客収入は3億1800万円ほどにとどまり、県と6市町から計2億9500万円の補助を受けても純損益が1億1700万円の赤字(前年度は262万円の黒字)に陥る見通しという。純損益の赤字は17年度以来4年ぶり。同社の20年度末時点での利益剰余金は1033万円で、このままだと利益剰余金に穴があくことになる。

 要請を受け、県と6市町は2~3月に開かれる各議会に提案の、21年度補正予算案に支援額を盛り込んだ。負担割合は県が50%(5300万円)、浜松市が23%(2438万円)など。今の経営計画の前提となっている16年度末時点での利用者数や、駅数などから決めているという。

 同社は、旧国鉄・二俣線(掛川―新所原)を存続させるため、県と沿線自治体、地元企業が出資して設立し、1987年に開業した。人口減などで経営環境が厳しさを増す中、駅の無人化などに取り組んできた。最近では観光キャンペーンにも力を入れている。

 ただ、2020年度以降は、コロナ禍を受けた休校や在宅勤務の増加に加え、観光客の減少が響き、旅客収入が大きく減った。駅施設や設備、車両の修繕などを先送りしてしのいだが、コロナ禍の長期化で、資金繰りが難しくなった。同社は、歴史的な価値のある転車台や洗車機の修繕などのため、2月末までクラウドファンディングによる寄付を集めるなど、独自の取り組みもしている。(大平要)

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