埼玉・春日部の「ふじ通り」 駅まで藤棚延長の構想

佐藤純
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 埼玉県春日部市は、毎年春に大勢の見物客を集める市中心部「ふじ通り」の自慢の藤棚を、東武鉄道春日部駅西口付近まで延長する構想をまとめた。西口から伸びる市道約300メートルの区間に藤棚を新たに設けることで、すでにある1・1キロの区間にかけて連続的に楽しめるようにする。

 駅周辺を2031年度までに高架化する県と東武鉄道の事業に合わせて、春日部のシンボルとなる景観に磨きをかける。

 現在の藤棚は、ふじ通りの春日部郵便局前交差点から南に1979年にできた。高さ2・8メートル、幅5メートルの枠が両側の歩道に設置され、7種類200本以上のフジが植えられており、毎年4~5月に花を咲かせる。市が管理している。

 例年4月にふじ通りで開かれる「春日部藤まつり」は春日部を代表する催しで、コロナ禍前の2019年には約20万人が訪れた。

 市は、高架化に合わせてふじ通りを含む中心市街地を再整備する。藤棚延長はその一環で、実現すれば、駅西口から約1・4キロの直線道路がフジの花で彩られることになる。再整備の方向性を議論した市の審議会などでこうした意見が出て、採り入れたという。

 現在の藤棚がある区間の道幅が25メートルなのに対し、新設を検討している区間は同30メートルで、道幅は十分にある。高架化に伴う中心市街地のまちづくり全体の中で道路や交通のあり方を検討し、それを踏まえて延長する藤棚の配置などを固める。地元の同意や、沿道の商店の荷さばきのための駐停車スペース確保などが課題になりそうだ。

 岩谷一弘市長は10日の記者会見で、「可能ならぜひ延ばしていきたい。市外から来た方が一番驚くのが藤棚。『こんなの見たことない』と。藤棚が駅からずっと続くと雰囲気も変わる。フジにクローズアップして市のブランド推進に活用していきたい」と話した。

 延長に先駆けて、市は老朽化した現在の藤棚の改修を順次進めている。新年度予算案に今年度の倍近い1769万円を盛り込み、スピードアップを図る。来年度末で4割の藤棚の改修が終わる。

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