FGT再検討 国が改めて否定 新幹線協議
九州新幹線西九州ルートの未着工区間(新鳥栖―武雄温泉)をめぐる佐賀県と国土交通省との6回目の「幅広い協議」が10日、オンラインであった。同省側が開発を断念し、県側が再度投げかけた最高速度を抑えたフリーゲージトレイン(FGT)について、同省側が「選択肢としてこれ以上議論するのは難しい」と改めて否定。県側は議論の継続を求めた。
今秋の暫定開業時点では、武雄温泉―長崎はフル規格新幹線で、新鳥栖―武雄温泉は在来線特急で運行し、武雄温泉駅のホームで乗り換えるリレー方式だ。
これに対し県が提案するFGTは異なる軌間の線路へ直通でき、乗り換えが不要となる。耐久走行試験で車軸の摩耗が確認されたことが開発停止の引き金になったとされ、県は最高速度を時速200キロに抑えたFGTなら開発が可能ではないかと指摘。リレー方式を避ける策としてFGTの再検討を提起している。
国は10日の協議で、FGTでは博多―長崎間の所要時間がリレー方式より4分間増えるという試算や最高速度200キロでは山陽新幹線への乗り入れが難しい点などを交え、FGT案を否定した。
県側は国がFGTについて「責任を持って実現化を推進する」などとしてきた経緯や、技術評価委員会が車軸の摩耗対策を打ち出したところで開発が止まっている点を指摘。山下宗人・県地域交流部長は「(国交省側から)自らブレーキをかける発言しか聞こえてこず残念だ」と述べた。
山下部長は、県職員がGPS機能を使ったスマートフォンのアプリで検証した結果、博多―新鳥栖間の新幹線の運行速度は時速200キロ以下だったとも述べ、この区間をFGTが新幹線軌道で走れば、在来線を利用した試算よりも所要時間が短くなるとも主張した。
山下部長は協議後の取材に、「摩耗対策をうけて、与党検討委員会で順調にいけば9年後にはできるというスケジュールまで示された。その後、何か問題が起きたわけでもない。県としては技術的に不可能だとは思っていない」と語り、議論の継続を望んだ。