あめつち乗り入れ案受け入れ 沿線の雲南、奥出雲両市町
2023年度での運行終了が予定されるJR木次線の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」の代わりに、観光列車「あめつち」を乗り入れるなどとするJR西日本の案について、島根県雲南市の石飛厚志市長と奥出雲町の勝田康則町長は31日、受け入れる考えを明らかにした。
石飛市長は同日の市議会全員協議会で、提案は沿線自治体や市民の思いをくみ取る努力が表れているとし、「最善とは言えないかもしれないが、地域の観光振興と合わせて活用する中で効果を生み出すことができる提案だ」と述べた。
勝田町長も、非公開であった町議会全員協議会で態度を明らかにし、終了後の取材に「断って何も得るものはない。苦渋の決断だが提案を前向きに受け止めたい」と容認する考えを示した。今後は、急勾配のため「あめつち」の性能では乗り入れできない出雲横田駅以南の活用策など、木次線利用促進に向け、他の沿線自治体とJR案の充実、底上げを図っていく。
「おろち号」を巡ってはJR西が昨年6月、車両の老朽化などから運行終了を発表。島根、広島両県の沿線自治体との検討会で話し合いを続けてきたが、今年1月20日の担当者会合で、JR西が「あめつち」の乗り入れや現行の定期列車をラッピングする案を提示していた。
すでに丸山達也知事が定例記者会見で受け入れ方針を示しており、両市町は県とともに2月9日に松江市である最終の第5回検討会で正式に表明する予定。
JR案では、「あめつち」の乗り入れは行楽期を中心に週1回程度で区間は宍道(松江市)―出雲横田駅。出雲横田―広島・備後落合駅間はJR西唯一の「3段式スイッチバック」があるが、車両の性能上運行できないという。