名古屋市の敬老パス、無制限→年730回に制限 利用可能区間は拡大
これまで利用無制限だった名古屋市の「敬老パス」に2月から年730回の回数制限が導入される。同時に名鉄、近鉄、JR東海の各鉄道と名鉄、三重交通の両バスの市内の運行区間でも新たに使えるようになる。
敬老パスは、65歳以上の市民が利用でき、所得に応じて年1千~5千円を支払えば市から交付される。
高齢者の社会参加を促そうと導入された制度で、市営地下鉄、市バス、あおなみ線などが乗り放題となっていた。昨年3月時点で約31万5千人が利用している。
2月1日以降は、支払額が据え置かれ、利用回数が上限に達した人はその日から約2週間後に使えなくなる。回数制限を年730回に設定した理由について、市は「片道1回、1往復が365日、毎日利用できる回数」と説明している。
年2千回を超える人が多数か
市が上限を設けたのは、利用状況の個人差や地域差が大きく、公平な制度に改めるためだという。市の推計では、1人あたりの利用回数の平均が年約200回のところ、2千回を超える人が多数いた。最多は年4千回以上で、1日平均12回使った計算となり、不正利用を疑う声も出ていた。
市によると、2019年度の実績では利用者の94%が年730回以下の利用にとどまった。これを超える回数を使った人は約1万9千人にのぼるという。
利用できる交通機関が広がるため、利用者が約1万2千人増えると市は見込んだ。敬老パスを使った人の運賃は市が利用者に代わって交通事業者に支払っており、約10億円の経費が新たに必要となる。
敬老パスの事業費は19年度、全体で約140億円だった。高齢者人口の増加でさらなる経費増が見込まれるなか、制度を持続させるために見直しを迫られたことも背景にある。
制度の大きな変更のため、市はコールセンター(052・766・5500)を設けて問い合わせに応じる。
●名古屋市の敬老パスが利用できる交通機関
【現在】
市バス(メーグル含む)、市営地下鉄、あおなみ線、ゆとりーとライン
【2月1日から拡大】
名鉄、JR東海、近鉄、名鉄バス、三重交通バス(それぞれ市内の運行区間)
※名鉄バス「諸ノ木~藤田医科大学病院(市外)」「稲葉地町~大治西条(市外)」は特例として利用できる