「環境に与える影響はない」 リニア工事事故でJR東海が説明

高木文子
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 リニア中央新幹線・瀬戸トンネル工事(岐阜県中津川市)で2人が死傷した崩落事故をめぐり、岐阜県の環境影響評価審査会の地盤委員会(委員長=神谷浩二岐阜大教授)が28日、初会合を開いた。JR東海は事故について「地盤沈下はなく、環境に与える影響はない」「工法に問題はなかった」などと説明した。

 委員会は、地盤工学や地形・地質の専門家ら8人でつくる。事故が環境に与える影響や、中央アルプストンネル山口工区(中津川市)で2019年に起きた陥没を踏まえ、県がJRに求めた対策が講じられていたか確認する。

 瀬戸トンネル工事の事故は10月27日、作業用トンネルで発生。入り口から約70メートル入ったところで最初は約0・3立方メートル、2度目は約1立方メートルの岩石が崩落し、作業員2人が死傷した。

 JRは崩落について、トンネルの最先端で、発破をした後に岩盤が露出した箇所で起きたと説明。現場は花崗岩(かこうがん)からなる比較的安定的な地盤と判断して工法を決めたとして「掘り方という意味では問題なかった」「崩落しやすいような状況で作業員が立ち入ったのが、最大の問題」とした。

 崩落現場の地表に変化がないことは、事故翌日、工事を担当した奥村組JV(共同企業体)が目視で確認。その後も定期的に確認し、坑内の計測と合わせて点検していると説明した。

 委員からは「地表面を確認した日時や状況を報告書に盛り込むべきだ」「地質や工法をどう判断しているのか」といった声が出た。

 事故を受け、県は瀬戸トンネルを含む県内4カ所の山岳トンネル工事の中止をJRに要請した。委員会が来年1月に会合を開くほか、工事の安全対策についても県が検討し、JRへ県の意見を伝える見通しだ。(高木文子)

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