いざ世界初のDMV本格運行 情熱胸に運転士ら集結 徳島県海陽町

斉藤智子
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 線路も道路も走る「DMV(デュアル・モード・ビークル)」の運行を25日に始める徳島、高知両県などの第三セクター「阿佐海岸鉄道」(本社・徳島県海陽町)は、常勤社員15人の小さな会社だ。本格的な営業運行は「世界初」とされるDMVが縁をつなぎ、運転士や施設係員として県外から4人が移り住んで仲間に加わった。

 運転士の河辺政三さん(49)、吉沢信一さん(50)、川崎良樹さん(43)と、施設係員の山本丈史さん(49)。川崎さん以外の同学年3人は、沖縄・竹富島の観光会社の元同僚で、阿佐鉄で再び集結した。

 川崎さんは採用前から鉄道運転士の資格を持っていたが、河辺さんと吉沢さんは採用後に資格をとった。

 2018年4月に入社したのが三重県出身の河辺さん。高校卒業後に私鉄で乗務員を26年間務め、沖縄・石垣島へ移住。隣の竹富島の観光会社で3年ほど貸し切りバスなどを運転したが、もう一度、鉄道に関わる仕事をしたくなった。

 そんな時、「世界初」のDMVの運転士募集を知った。40代後半。年齢が気になったが、駄目元で応募し採用された。18年夏から翌年3月までJR四国に出向し、20代に交じって勉強し、運転士になった。DMVは、好きだった乗客とのやりとりもできる。「安全運転で、お客さんを大切にしたい」

 「世界初というのが頑張れる動機。50歳で最後の挑戦だ」と言う神奈川県出身の吉沢さんは、同僚だった河辺さんの後を追って20年6月に入社。土佐くろしお鉄道で学び、運転士となった。「運転するだけじゃなく、お客さんが何に興味を持っているかを把握し、その上を目指したい」

 兵庫県出身の山本さんは、施設係員に退職者があり、20年9月に入社。線路がゆがんでいないかの測定や草刈り、車両の点検を担う。「縁の下の力持ち」でいることが誇りだ。

 今年7月に入社した兵庫県出身の川崎さんは、親の介護を終えて鉄道の仕事に再び就こうと選んだのが阿佐鉄だ。採用後にバスモードを運転するための中型二種免許をとり、習熟訓練を重ねてきた。「世界初を、初めて運転できるのは世界で数人。やりがいがある」

 25日は、始発のバス停がある阿波海南文化村(海陽町)で午後0時半から発進式がある。午前9時~午後3時には、グッズ販売ブースなどが出展し、車両の撮影ブースも設置される。(斉藤智子)

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