相次ぐ列車内での事件 群馬県内でも鉄道と県警が対応訓練

角津栄一 中村瞬
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 8月の小田急線、10月の京王線、11月の九州新幹線など列車内での事件が相次いでいる。もし身近なところで起きたら、どう対応するか。群馬県内でも鉄道各社と県警が非常時を想定した訓練を重ねている。

 JR東日本高崎支社(高崎市)は今月14日、車内で刃物を持った男が暴れる事態を想定したテロ対策訓練を実施した。県警と合同で、JR社員や警察官ら約80人が参加。本番さながらの緊迫した雰囲気のなかで、緊急事態への対処法を学んでいた。

 訓練は、高崎駅の施設内に停車した車両を利用した。上りの5両編成の列車が高崎駅を発車した直後、乗客の男が刃物を振り回しながら「殺してやる」と叫んで他の乗客に襲いかかる状況を想定。乗務員が15人ほどの乗客を車外に避難させ、通報を受けた警察官が盾などを使って、車内にいた男を取り押さえた。

 支社によると、緊急時に乗務員に異常を知らせるSOSボタンは支社管内の車両すべてに設置されており、防犯カメラは高崎線を走る在来線の全車両に搭載されている。警察官による車内巡回もあるという。

 支社で危機管理を担う総務課の白石幸夫課長は「乗客の命を守り、安全に鉄道を利用していただくため、合同訓練を実施した。今後も警察と連携して、よりスムーズに対応できるようにしたい」と話した。

 11月には県警と東武鉄道が合同で、太田駅での無差別刺傷事件を想定した対処訓練もあった。ホームにナイフを持った男がいる状況で、警察官と駅員が連携して客を避難誘導する手順を確認した。

 今月はほかにも、東武伊勢崎駅とJR伊勢崎駅でも訓練があった。県警は京王線の事件を受け、県内に路線を持つ鉄道会社に対し、同種の事案に備えるための注意喚起をしている。

 警備2課によると、不審者や不審物の発見といった自主警備の強化、防犯カメラや非常通報装置の整備の拡充、すばやく確実に通報するための連絡体制の確認――などを求めているという。(角津栄一、中村瞬)

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