会津鬼怒川線が4割減便 1日675人利用、観光需要の減小追い打ち

平賀拓史
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 野岩鉄道(栃木県日光市)は、来春のダイヤ改定で、会津鬼怒川線の運行本数を4割削減する。沿線の人口減少に加え、コロナ禍による観光需要激減の影響を受けた。大幅な本数減は1986年の開業以来初めてで、経営の合理化を進める。

 会津鬼怒川線は、新藤原(日光市)―会津高原尾瀬口(福島県南会津町)間の計30・7キロを結ぶ。運営する野岩鉄道は、栃木・福島両県や沿線の19市町村などが出資する第三セクターだ。栃木では東武鉄道と、福島では会津鉄道と乗り入れを行っている。

 同社によると、改定は来年3月12日に実施し、1日あたりの運行本数を上下34本から20本に削減する。利用人数が少ない日中を中心に、各駅停車を上下12本、会津鉄道が乗り入れる快速を上下2本廃止する。開業時の本数は30本で、35年間この本数をほぼ維持していた。

 路線のほぼ全域が含まれる旧藤原町地域は、人口減少が急激に進む。

 国勢調査によると、地域の人口は開業直前の85年には1万3255人だったが、2020年には7819人にまで落ち込んだ。栃木県の調査によると、野岩鉄道の1日あたりの輸送人員はピーク時の91年には2458人だったが、19年は675人。同社によると、定期券の利用者は全体の2~3%ほどという。

 2017年には、浅草―会津田島間を3時間強でつなぐ特急「リバティ会津」が登場し、川治温泉や湯西川温泉など観光地の玄関駅では利用者が増えた。

 だが、昨春からのコロナ禍が直撃。野岩鉄道によると、20年度の輸送人員は計14万5千人で、前年(32万5千人)比で55%減った。鉄道事業の営業収益も19年度の2億7667万円から1億4521万円にほぼ半減した。路線計30・7キロのうち約6割はトンネルが占めており、維持費や管理費も経営の重しとなっているという。

 ダイヤ改定では、リバティ会津の4往復すべてを男鹿高原以外の全駅に停車させ、減便分を補う。鬼怒川温泉以北のみの利用ならば、特急券は不要で乗ることができる。同社の室井徳男営業課長兼運輸課長は「コロナや少子高齢化の影響がある中で、利用者の利便性に最大限配慮したダイヤ改正であり、ご理解いただきたい」と話している。(平賀拓史)

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