免許返納者への支援続々 電動車いす、割引特典、バス無料券

池田拓哉
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 運転免許証を自主返納した高齢者の生活を支援する動きが企業や自治体の間で広がっている。ペダルの踏み間違えなど高齢者による事故が相次ぐなか、県警は高齢者に対し、免許更新を慎重に判断するように求めている。

 栃木トヨタ自動車(本社・宇都宮市)は3月から、ウィル社(東京都)の電動車いすの販売を始めた。本社に併設した販売店で21日、最新式の電動車いす「WHILL(ウィル)」の試乗会があった。

 ウィル「C2」は、最大5センチの段差を乗り越え、10度の傾斜を上ることができる。半径76センチの範囲で回転でき、エレベーターの中で向きを変えられる。片手でレバーを操作し、変速もバックもできる。手を離せば自動的にブレーキがかかる仕組みになっている。

 試乗した宇都宮市の米販売業、滝野光太郎さん(72)は「力強く走れる。操作しやすく、方向変換もスムーズですね」。

 「C2」はメーカー希望価格が47万3千円。11月に販売が始まった廉価版の「F」は26万8千円。栃木トヨタ自動車の担当者は「自転車でもバイクでもない新たな近距離移動の手段として免許を返納した方に提案したい」と話す。

 県が3月に始めた「自主返納サポート事業」によって、免許返納者に対する割引サービスなどの提供が増えている。警察署などで交付される「運転経歴証明書」(1100円)を提示すれば、タクシーやスーパー、飲食店で特典が受けられる。現在、県内103事業所が協賛している。

 市町も独自の施策を展開する。小山市は市内バス(おーバス)の終身無料乗車券、芳賀町はデマンドタクシー利用券100枚(1万円分)を交付する。上三川町は3千円相当の商品券などを贈っている。25市町で唯一、施策がなかった佐野市も来年4月の運用開始をめざし、一部の生活路線バスを半年間無料とすることを検討している。

 県警によると、県内で免許を新たに返納した人数は2019年の8413人をピークに減少傾向にある。20年は7818人。今年は9月までに5316人が返納したが、前年同期比で436人少ない。

 運転免許管理課の伊奈雅浩次長は「高齢の方は免許の有効期限が近づいたら、いったん立ち止まって自分の運転能力を考えてほしい」と話す。(池田拓哉)

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