英女王も乗った近鉄特急12200系、ラストラン 「名車だった」

臼井昭仁
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 高度成長期に登場し、半世紀あまりにわたって走り続けた近鉄の特急12200系が20日、「ラストラン」で正式に引退した。おなじみの紺色とオレンジ色の車両の最後を見届けようと近鉄賢島駅(三重県志摩市)には大勢の鉄道ファンが詰めかけた。

 ラストランでは名古屋―賢島、大阪上本町―賢島をそれぞれ1往復した。当初8月に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため延期になっていた。今回は車両数を増やし、事前に予約した約500人が乗車した。

 沿線のほか、賢島駅のホームにはカメラを持った鉄道ファンであふれた。名古屋から到着すると、熱心に撮影する姿が見られた。四日市市から訪れたという男性会社員(46)は「子どもの頃から何度も利用した。見られなくなると聞いてやって来た」と話した。

 正午過ぎからは、名古屋へ戻る車両の前で出発式が開かれた。片岡賢二・鳥羽駅長が「本日で最後。関係した社員、お客様に感謝します」とあいさつ。乗務員2人には花束が贈られた。

 駅で見守った名古屋統括部・運輸部車両課の中村浩さん(58)は、12200系の保守、点検を長年、担当してきた。「故障は少なく、手入れがしやすい名車だった。一生の思い出」と振り返った。そして「こうして最後を見られるのも感慨深い。お疲れ様でしたと言いたい」と話した。

かつては「新スナックカー」

 ラストランの出発式は大阪上本町駅(大阪市)でもあった。

 12200系は1969年に登場。リクライニングシートや洋式トイレを設置。かつては軽食を販売していたことから「新スナックカー」とも呼ばれた。近鉄の特急車両で最も多い168両が造られ、名古屋線など近鉄の主要路線を走った。昭和天皇や英・エリザベス女王も乗車したことがある。2月に定期運行から外れた。

 現在22両残っている大半の車両は解体される。うち4両は改造して紫色に塗り替えられ、京阪地方の観光特急「あをによし」に生まれ変わる。2022年4月に登場する。(臼井昭仁)

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