運休して昼間に補修工事 背景に現場の人手不足 水郡線
【茨城】JR東日本水戸支社は、水郡線で日中に列車を運休して線路を補修する工事を始めた。
工事は今月16~18日、午前10時半から午後2時半ごろに上菅谷―常陸太田間を発着する上下4本を運休して行われている。12月14~16日にも同時刻にあり、来年1月と2月には、常陸大子―磐城石川間で上下2本を運休して計6日作業する予定。バスやタクシーによる代行輸送はしない。
背景にあるのは、保線作業現場の深刻な人手不足だ。日中に工事することで、より働きやすい環境の整備と作業効率の向上をめざす。
終電後の深夜や土日祝日に線路を補修することが多く、労働環境が厳しいため、作業員は直近10年で2割減った。2030年にはさらに1~2割の減少が見込まれる。また夜間の作業は照明が限られ、作業効率が悪かった。
一方、水郡線の設備は老朽化が進む。レールは既に敷設から40年以上、枕木も約50年たっていて、設備の維持・更新が課題になっている。
10月26日には上菅谷―常陸太田間で昼間に運休し、老朽化した枕木を交換する作業が報道公開された。作業員は突き固められた線路の砂利をショベルカーで掘り、古くなった木製の枕木をコンクリート製の枕木に交換していた。
運休の影響を最小限にするため、事前に沿線の高校と調整し、試験やイベントを避ける日程にした。駅や車内にポスターを貼ったり、車内アナウンスをしたりして約2カ月前から呼びかけてきたという。
作業には騒音が伴う。夜間に工事していた時は、近くに住む受験生から苦情が寄せられることもあった。日中に行うことで近隣住民への影響を抑える効果も期待できるという。
同支社設備部の長谷川洋明部長は「利用者に理解いただいた上で、安心・安全のため線路設備の更新をスピードアップさせたい」と話している。