とれたて松葉ガニ、JR列車で輸送 初日は駅で販売も
中村建太
JR西日本は、山陰の冬の味覚、ズワイガニを、特急や新幹線を使って、水揚げ当日に岡山や関西、九州方面に運ぶサービスを始めた。初日の12日は、とれたての松葉ガニ(雄のズワイガニ)が岡山や京都に運ばれた。JR岡山駅構内でも販売され、駅利用者らの目をひいた。
旅客列車で地域産品を運ぶJR西の「貨客混載輸送事業」の一環で、コロナ禍で列車利用客が減るなか、新たな物流網として定着させたい考えだ。
輸送されるのは、鳥取県境港市の境漁港で水揚げされるズワイガニで、カニの輸送は同社では初という。JR西管内の百貨店などからの受注制で、漁獲シーズンの来年3月下旬まで不定期で行う。19日にはJR九州と連携し、鹿児島市にも届ける予定だ。
12日は早朝にとれた松葉ガニ16杯を5箱に分け入れ、米子駅から岡山駅まで特急やくもで輸送。京都市の百貨店で売り出す2箱6杯は山陽新幹線に積み替えて新大阪駅まで運び、さらに特急スーパーはくとに移して、京都駅まで届けた。
岡山駅では3箱10杯が降ろされ、構内の土産物店の特設売り場に並べられた。氷入りの発泡スチロールから取り出された松葉ガニは脚を盛んに動かし、生きの良い様子。サイズごとに1万2410円~1万5900円で販売された。岡山市の60代男性は「大きいのを選んだ。今夜、刺し身で食べたい」と喜んでいた。
JR西岡山支社の伊東暁・ふるさとおこし本部長は「今後も各地の産品の価値を鉄道の価値と結びつけて運びたい」と話した。