JR北、営業赤字338億円 コロナ禍で回復遅れ、国への依存強める

佐藤亜季
[PR]

 JR北海道は12日、2021年9月中間決算を発表し、売上高にあたる営業収益は前年同期比2・7%減の506億円、営業損益は338億円の赤字(前年同期は385億円の赤字)、純損益は183億円の黒字(同149億円の赤字)だった。営業損益の赤字幅は、新型コロナウイルスの影響で過去最悪だった昨年に次ぐ大きさとなった。純損益は国からの追加支援で黒字転換したが、経営自立に向けた不透明感は強まっている。

 コロナ禍による利用客の落ち込みが想定以上で、コロナ前の6割程度の回復にとどまっている。北海道新幹線は1日あたり3千人の利用を見込んだが実際の利用客は1日1600人となっている。不動産やホテル事業の回復も小幅にとどまった。従業員のボーナスや車両修繕費を削って営業費用を圧縮したが、大幅な営業赤字となった。

 純損益は黒字化したが、国が昨年末に決めた経営支援策によるものだ。赤字を穴埋めする経営安定基金の運用益が減っているため、その4割を鉄道建設・運輸施設整備支援機構に高めの金利で貸し付け、今後10年は安定した利益を得ることになっている。機構からの長期借入金の一部の株式化も完了し、債務の返済負担は減った。

 ただ、コロナ禍による利用減からの本格回復の時期は不透明だ。この下期は除雪など営業コストもかさむ。JR北の綿貫泰之副社長は会見で「下期の状況は不透明だが、コスト削減を積み重ねて、当初掲げた純損益(146億円の赤字)計画は達成させたい」と述べた。(佐藤亜季)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら