原告側弁護士、JR側に反論 大分の駅無人化訴訟

倉富竜太
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 JR九州が駅を無人化したことで、移動の自由を制限されて苦痛を受けたとして、車いすを利用する大分市内の3人が損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が11日、大分地裁(府内覚裁判長)であった。原告側代理人の徳田靖之弁護士が、JR側の主張に反論する意見陳述を行った。

 徳田弁護士は、無人化駅に導入されている遠隔監視用のスマートサポートステーション(SSS)について言及。「この訴訟では、SSSの導入による駅無人化が不法行為とはならないかが問われている」と指摘した。

 徳田弁護士は「原告は3駅を無人化したことが不法行為であると主張しているが、被告はSSSで対応するので無人化前とその利用において何らそん色ないと弁明している」と語った。その上で「SSSの導入によっても、事前の予約や調整が必要となる以上、不法行為となることに変わりはない」と訴えた。

 徳田弁護士は「原告らのように特に重い障害のある者にとって、公共交通機関を利用することは単なる移動手段ではなく、自立と社会参加を意味する。生きるうえでの自己実現の一つで、憲法13条の保障する幸福追求権そのものです」と意見を述べた。

 徳田弁護士によると、この訴訟でJR側は、原告らの主張する「移動の権利」は憲法13条が保障するものではなく、「移動の自由」とは異なると主張。また、憲法14条は実質的平等を保障するものではなく、原告らには駅員の常時配置を求める権利はない、と主張しているという。(倉富竜太)

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