伊賀線まつりで車両撮影やグッズ販売 13日、三重

江湖良二
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 伊賀鉄道のイベント「伊賀線まつり」が13日、三重県伊賀市上野丸之内の忍者市(上野市)駅近くの上野市車庫で開かれる。コロナ禍のため昨年は中止。今年は緊急事態宣言解除を受け、開催を決めた。普段入れない車庫や線路での車両撮影やオリジナルグッズの販売がある。

 同鉄道とファンらでつくる「伊賀鉄道友の会」の主催。線路の補修作業に使う軌道自転車や、パソコンを使った運転シミュレーションが体験できるほか、200系車両(ピンク忍者列車を予定)の撮影会がメイン。友の会メンバーがつくった伊賀線の駅や沿線風景のジオラマも展示される。

 グッズ販売の目玉は、伊賀線全線開通99年を記念する入場券セット。同鉄道は、1922年に上野町(現上野市)駅から名張(後の西名張)駅まで延伸開業。それ以降の主な出来事の年月日を印刷した12駅の入場券セット(税込み2400円)を300組限定で販売する。過去の運転手用時刻表やイベント列車のヘッドマークなども出品される。

 まつりは午前10時から午後3時まで。担当者は「イベントをきっかけに伊賀鉄道に親しんでいただきたい」と話している。入場無料だが、一部イベントに整理券が必要で、配布は午前10時と午後0時半。問い合わせは、同鉄道上野市駅(0595・21・3231)へ。

 真っ赤に紅葉した木々の前や、実在する病院・民家そばの橋をくぐる2両編成の伊賀鉄道――。いずれも三重県名張市の会社員南方栄樹さん(28)と米田昌訓さん(32)が、伊賀線の沿線風景をリアルに再現したジオラマだ。2人を中心に伊賀線全15駅の制作をめざし、13日の伊賀線まつりで一部が公開される。

 作品「伊賀の秋」は南方さんのお気に入りのひとつだ。背景の紅葉、稲刈り後の田んぼ、後片付けする農家のトラック、水がはった上林大池(上林)。踏切そばには、撮影する南方さん本人の姿もある。作品は専門誌「鉄道模型趣味」(機芸出版社)11月号で紹介された。名取紀之編集長(64)は「現地を細かく取材して季節も限定、鹿がいたというエピソードや実体験をうまく取り入れた描写が優れている」と話す。

 一方、岡波総合病院(伊賀市上野桑町)や民家が密集するエリアで、列車がくぐるれんがの橋を中心にした「岡波カーブ」は、米田さんの力作だ。発泡スチロール製の橋は、れんがが1個1個彫り込まれ、色の違いや壊れて取り換えた部分も再現した。建物や道路は、年月を経てくすんだ「汚し加工」を施している。

 ジオラマは、木製の土台の高さが10センチ、長さ90センチ、奥行き25センチが基本。線路がカーブする場面は、縦横50センチの正方形とする。線路の幅が9ミリ、Nゲージという150分の1のスケールの鉄道模型に対応する。発泡スチロールや紙粘土で土手や丘をつくり、プラスチック材の建物や樹木、電柱などを飾る。電柱や家は既製品もあるが、2人はプラ材を加工してゼロからつくり、樹木もスポンジを使って盛り上げる。ジオラマ同士をつないで、鉄道模型を走らせることができる。

 2人が中心になってつくった伊賀線の作品は合わせて20点ほど。2009年、伊賀線まつりで展示イベントの一つとして米田さんやその友人が提案、その後鉄道の撮影会で出会った南方さんも加わった。両人ともジオラマづくりは会に入ってから本格化、会社の同僚や会のメンバーに教わったり、手伝ってもらったりした。10年余りで、市部や上野市など10駅をつくり、残り5駅が目標だ。

 ジオラマは、それぞれ自宅でつくり、毎年ひとつは新作を出している。10月下旬、上野市駅で開かれたイベント「いがてつマルシェ」でも、伊賀線沿線の城や車庫、街並みなど伊賀の風景を圧縮した作品「ミニ伊賀線ジオラマ」を出して「すごくリアル」「自分も欲しい」と好評だった。

 「作り込むほどリアルに仕上がるのが楽しい」と南方さん。米田さんは「ここは知っている、とイベントで声をかけてもらえるとうれしい」と話す。

 伊賀線まつりでは、ジオラマ作品数点を出す予定で、出品作はこれから決める。伊賀鉄道総務企画課の中村光宏課長補佐(58)は「鉄道ファンに限らず、小さな子どもさんも興味を示し、大人も楽しんでもらえる。大変感謝しています」と話している。(江湖良二)

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